タイプ別 頭痛の原因と対策を解説
投稿日: 2022年05月10日
最終更新日: 2022年06月06日
現在日本に約3000万人の患者がいるといわれる頭痛。風邪や寝不足など一時的な頭痛も加えると、経験したことのない人はいないくらいでしょう。薬を飲んだり、少し休んだりすると頭痛は治まる場合が多いので、頭痛もちの人も「またいつもの頭痛か」と、痛みを我慢してやり過ごしがち。けれども、頭痛の原因にはいくつか種類があり、適切な対処法をとらないと、頭痛がより悪化したり、命に関わる危険が隠れていることもあります。
頭痛の種類
脳や身体にこれといった病気がないにも関わらず、繰り返し起こる頭痛を一時性頭痛(慢性頭痛)と言います。「頭痛もち」といわれる人のほとんどが一時性頭痛で、中でも一番多いのは、長時間の同姿勢やストレスなどが原因で、血行が悪くなり、首や頭の筋肉が緊張してしまうことで起こる「緊張性頭痛」です。
次に多いのは、何らかの原因で脳の血管が拡張し、炎症を起こすことが原因となる「片頭痛」。特に20~40代の女性に多くみられています。その他、まれなタイプで男性に多い「群発頭痛」や、緊張型頭痛と片頭痛の「混合タイプ」もあります。
他方、二次性頭痛(症候性頭痛)とは、くも膜下出血や脳梗塞、脳腫瘍など、脳の病気が原因となって起こる頭痛です。元になっている病気を治療しなければ、死に至る危険を伴います。突然の激しい頭痛があったり、普段と様子が違う時は、必ず病院を受診する必要があります。
また、蓄膿症や虫歯、花粉症など、脳の外に原因があり、頭痛が起こる場合もあります。
頭痛の対策
緊張型頭痛の対策
緊張型頭痛になると血行が悪くなり、首や頭の筋肉が緊張します。それで、似たメカニズムで起こる肩や首のこりも同時に起きる人も多くいます。仕事や家事による肉体的な負担に加えて、パソコンやスマートフォンの普及で、長時間同じ姿勢を取り、目を酷使する状況が増えていることも大きな誘因になっています。
対策としては、まず、環境を整えることが大切。デスクワークの時は机と椅子の高さを調整し、うつむき姿勢をなくすように心がけましょう。また、同じ姿勢で作業を続けるときは、適度に休憩やストレッチを取り入れて、首や肩の凝りをほぐすことも効果があります。
入浴はシャワーで済ませるよりも、湯船につかり首や肩を温める方が筋肉の緊張がほぐれますし、マッサージ、ツボ押し、ホットタオルなども有効。そのような対策をとっても頭痛が改善しないときは、市販の頭痛薬を使うか、病院で医師に相談しましょう。
偏頭痛の対策
片頭痛の原因は、ストレス、食事、睡眠、騒音や光の刺激、女性ホルモンの変動など、なんらかの誘発因子が関わって、痛みが生じていると言われています。そのため、頭痛が起きたときのタイミング・状況を記録し、誘因を見つけることが大切です。
騒音がきっかけになっている場合は、できるだけ人ごみを避けるというように、あらかじめ対策を講じることができます。
また、血管の拡張が痛みにつながっているため、マッサージや入浴で温めることは逆効果になりかねません。こめかみを冷やしたり、光を遮断した静かな部屋で横になることは有効です。
市販の頭痛薬もありますが、誤った使い方を続けると、頭痛が悪化してしまうこともあります。頻繁に強い頭痛が続く場合や、吐き気やめまいなどの症状を伴う場合は、病院の診察を受けた上で薬の治療を受けましょう。
ここまでお話したように、頭痛にはさまざまな種類があり、複数の要因が原因となっていることもあります。症状が続く場合は必ず病院を受診し、原因を把握しましょう。自己流の対処で痛みをしのぎ続けるよりも、原因に合った対処法を取り入れることが、快適な毎日につながります。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン