あなたの便秘はどのタイプ?
投稿日: 2022年07月04日
とくに女性は便秘に悩む人が多いと言われていますが、そもそもどういう状態を便秘というのでしょうか。今回は、便秘の定義とタイプについて解説していきます。
便秘の定義
そもそも便秘にはいくつかの定義があります。医師によって考え方に違いはありますが、次の4項目のうち、一つでも当てはまるものがある場合には、便秘と考えられます。
まとめてみると、排便の回数に問題あることと、便の状態やその原因に問題がある場合が考えられるでしょう。たとえば、3日以上というのは排便の回数の問題、残便感はまだ腸に便が残っている可能性、いきまないと出ないのはやはり、腸などに問題がある場合、そして、便がコロコロしているのも腸の便通異常が考えられます。
便秘のタイプ
さて、一口に便秘と言ってもさまざまなタイプがあり、それによってさまざまな原因があります。
急性便秘:大腸のぜん動運動が鈍って、一時的に起こる便秘
・一過性単純性便秘:環境が変わったりストレスの影響などで、いきなり始まりますが、一時的なもので、原因が解消すると自然に治る便秘です。
・症候性便秘:腸やこれに関係する病気が原因で起こるもの。便秘のほかにおう吐や腹痛といった症状を併発することもあります。
慢性便秘:便秘状態がずっと続いている状態
・症候性(器質性)便秘:他の病気がもとで起こる便秘
・常習性(機能性)便秘:生活習慣やストレスなどで腸の機能が低下して起こる便秘
・弛緩性便秘:腸の働きが悪くなって起こる便秘。便が押し出されなくなって起こります。便秘の中では最も多く、お腹が張って苦しいのが特徴。ガスが溜まりやすく、おならも出やすくなります。高齢者や女性、運動不足の人などには腹筋が弱って腸が働かない場合もあります。
・けいれん性便秘:自律神経の乱れで腸が過敏になって、痙攣するように動いて起こる便秘です。腸のくびれたところに便やガスがたまって便秘になります。ストレスから起こる便秘でもあり、便秘と下痢をくり返すこともあります。ウサギ大のコロコロウンチが出たり、細くて短い便になったりします。
・直腸性便秘:直腸に便が溜まっても、そのシグナルが脳に伝わらずに起きる便秘。便意を我慢したり、浣腸の乱用など排便のサインを無視したことが原因となって起こる便秘。最近増えているそうです。
自律神経と便秘
「便秘外来」を始めた小林弘幸医師によりますと、便秘には自律神経の乱れがかなり影響しているとのこと。先にご紹介した便秘のタイプを見ても、急性、慢性ともに、自律神経が影響して便秘が生じているケースがあることがわかります。
自律神経には交感神経と副交感神経とがあります。腸の運動を促進するのは副交感神経ですが、自律神経が乱れて交感神経ばかりが働いてしまうと、便秘が起こりやすくなります。ストレスをはじめ精神的なダメージや冷えなどは自律神経のバランスを大きく乱すことがありますから、これらの要因は便秘には影響するということです。
病気が原因となって起こる器質性便秘はできるだけ早く受診したほうがよいですが、機能性便秘の場合も深刻な場合は専門医院を受診することがおすすめです。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン