インフルエンザ予防にも!?口腔ケアは免疫力アップに重要
投稿日: 2023年11月01日
だんだんと空気も乾燥してきて、風邪やインフルエンザにかかる人も増えています。代表的なインフルエンザの予防法というと、インフルエンザワクチンの予防接種があげられます。このほか、手洗いやうがい、手洗い後のアルコール消毒液の使用などは、さまざまな感染症を予防する有効な方法として知られています。そしてもう一つ、予防法と言われているのが、口腔内のケアです。口腔ケアと免疫力の関係について、解説していきましょう。
口腔ケアと免疫力の関係
インフルエンザをはじめ、感染症の原因となるウイルスや細菌の多くは、鼻や口から体内に侵入します。けれども、口などからウイルスや細菌が侵入したからといって、必ず風邪などを発症するわけではありません。私たちの身体には、さまざまな免疫機能が備わっているからです。その一つが、口腔内の免疫機能です。たとえば、唾液。ウイルスなどの病原体が口の粘膜に付着すると、唾液中に免疫物質が分泌され、病原体から身体を守ろうとします。これを専門的には「粘膜免疫」と呼びます。また、唾液には病原体や口の中の汚れを流す働きもあります。さらに、口腔内にはさまざまな種類の細菌などの常在菌がすみついています。その数なんと400種類以上。これらの細菌がバランスをとることで口内は健康な状態に保たれています。ところが、口腔ケアが不十分だったりして、常在菌のバランスが崩れると、一部の細菌が出す酵素によって粘膜を守る免疫機能が壊されてしまい、病原体が体内に侵入しやすくなってしまうのです。たとえば、高齢者には肺炎にかかる人が多くいますが、これには老化にともなって嚥下(飲み込み)の力が弱くなり、病原体を含んだ唾液が肺に侵入しやすくなることも関係しています(誤嚥性肺炎:ごえんせいはいえん)。このように、口腔ケアを適切に行うことは、インフルエンザをはじめ、さまざまな感染症を予防することに役立ちます。
では、どのようにケアをしたらよいでしょうか?
基本の口腔ケアを徹底しよう
多くのかたがご存知のように、口腔ケアの基本は歯磨きです。仕事などをしていると難しい場合もあるかもしれませんが、できるだけ毎食後、歯磨きを行いましょう。また、歯ブラシのほかに、歯間ブラシやフロスを併せて使うと、よりしっかりと汚れを除去できます。さらに、口腔内の細菌の多くは、歯の表面ではなく、舌や口の粘膜に存在します。ですから、歯を磨いた後に舌用のブラシを使ったり、マウスウォッシュで口全体を殺菌すると、より効果的です。
ところで、インフルエンザの予防接種はすでに受けていますか?インフルエンザワクチンは、接種後から効果を発揮するのではなく、2週間程度の時間を要するといわれています。ですから、まだ接種していない人は今のうちに受けておいてくださいね。予防接種、手洗い、うがい、アルコール消毒液の使用、口腔ケアをしっかり行い、感染症を予防しましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当