汗をかくのはなぜ?
投稿日: 2022年06月24日
暑いときはもちろん、緊張した時や辛い物を食べたときなど、さまざまなシチュエーションで汗をかきます。
では、どうして私たちは汗をかくのでしょうか。
汗はどこから出るの?
私たちの皮膚には汗腺と呼ばれる組織があって、汗はそこから分泌されています。
汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺の2つがあります。
エクリン腺は全身に分布し、おもに体温調節のために無味無臭の汗を出しています。もうひとつのアポクリン腺は、脇の下や乳首、下腹部など特定の部位に多く分布しています。白く濁った汗を出し、たんぱく質や脂質などニオイのもととなる成分を含んでいます。
「汗臭さ」のうち、すっぱい臭いや雑巾のような臭いは、エクリン腺から出た汗がもとになって、細菌が作り出す皮脂や汚れの臭いです。
一方、ワキガ臭はアポクリン腺から出る汗が、細菌によって分解されることから発する臭いです。このように、汗は全身にある2種類の汗腺から出ます。
汗の種類
汗には次の3種類があります。
温熱性発汗
暑いときや運動をしたときなどに、上昇した体温を下げるためにかく汗のことです。いわば、体温調節のためにかく汗で、手のひらや足の裏を除く全身で汗をかき、エクリン腺から汗が出ます。
外の気温が上昇したり運動をしたときは、体温や肌の表面温度が上がります。すると、脳の視床下部は体温が上昇したという情報をキャッチして、エクリン腺に汗を出すように指令を出します。ちなみに、暑いときに激しい運動をすると、1時間に2リットルもの汗をかくといわれています。発汗によって体温の上昇を防いでいるのです。
味覚性発汗
香辛料が効いた辛い物やすっぱいものを食べると、額や鼻に汗をかきます。これは、辛さやすっぱさが刺激となって発汗神経に反射的に起こる現象です。なので、食べ終わると汗も引いていきます。味覚性発汗もエクリン腺から汗が出ます。
精神性発汗
人前に出て緊張したり、驚いたときなどに出る汗です。ストレスや緊張など精神的な刺激によってかく汗といえます。不安などの精神的・心理的な要因によって自律神経の交感神経が活発になって発汗します。精神的発汗は「手に汗をかく」とか「冷や汗をかく」などと表現されます。汗が出る部位は「手のひら」「足の裏」「脇の下」「額」などの限られた場所で、短時間に発汗するのが特徴だとされています。ワキガ臭はアポクリン腺から、その他の汗はエクリン腺から出ます。
精神的発汗は、温熱性発汗と違って皮膚の表面が冷たく、鳥肌や寒気を伴っているので「冷たい汗」と感じます。通常は不安などの精神的・心理的な要因によって起こりますが、それ以外にも、初期の熱中症や低血糖症、メニエール病など、身体に何か病気が潜んでいるときに出ることもあります。
異常な発汗は身体からの病気のサインかもしれません。「なんだかいつもと違う汗だな」と感じたときは、心身の状態に気を配ってみてくださいね。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当