病院に行くと「異常なし」なのに疲れがとれない・・・それは「累積疲労」かも
投稿日: 2022年08月29日
どんなに寝ても眠い、睡眠をとっても疲れがとれない。そんな慢性的な疲労で、身体がだるいからと内科で診察を受けても「異常なし」と診断され、首をかしげてしまうこともあります。もしかしたらそれって「累積疲労」かもしれません。
累積疲労とは
「累積疲労」とは、疲れを放置しておいた結果、肩や背中のこり、頭痛や手足のしびれなどの症状を引き起こし、最終的には、仮面うつ病や突然死に至ってしまう病気のことです。累積疲労と似た症状で「慢性疲労症候群」がありますが、慢性疲労症候群は原因や治療法がはっきりとわかっていません。これに対し累積疲労の原因は「疲労」で、治療法もはっきりとしていて、数か月から1年で確実に治ると言われています。また、疲労から派生する心の不調があったとしても、累積疲労は「身体の病気」です。疲労がたまると毛細血管とリンパ管が詰まりやすくなり、死んだままの細胞が蓄積されます。胃腸が弱り、栄養素の消化や吸収ができなくなり、身体にだるさを感じるのです。一般的に「疲れは時間が経てば消えていくもの」と誤解しがちですが、疲れはしっかりと解消しない限り消えるものではありません。
累積疲労の症状と対処法
累積疲労の症状と対処法を整理しておきますので、参考にしてください。
初期
小さなミスやド忘れが増える、些細なことでイライラする、ある程度長時間連続して眠ることができる、起きるときもすっきり目が覚める
<対処法>
1日30分程度の運動、ぬるめのお風呂につかる
初期の症状は、イライラや小さなミスなど仕事や日常生活に差支えが出てきます。対処するには、適度な運動が必要です。脂肪を燃やしやすくするためにぬるめのお風呂にゆっくりつかる習慣をつくりましょう。
中期
たくさん寝ても眠い、寝たのに疲れがとれない、即断即決ができない、首・肩・背中・腰がこる、頭痛がする、目の奥が痛い、目元が痙攣する、風邪でもないのに痰が出る
<対処法>
とにかく身体を休めること、休日は最低でも12時間を目標に眠る
累積疲労の中期の症状は、睡眠をとっても疲れがとれず、身体がだるく重いことが特徴です。この場合、運動や入浴をしても逆効果。余計に疲れてしまいます。とにかく身体を安静にすることが重要です。
末期
疲れているのに眠れない、一度座るとなかなか立ち上がれない、まっすぐに歩けない、人ごみに出られない、涙が止まらない、自殺を考える
<対処法>
末期の症状にまで至ると、自力で治すことは不可能です。また、心の病気にもつながりかねませんので、早いうちに必ず病院へいきましょう。治療すれば確実に回復します。
ただの疲れだからといってあなどってはいけません。疲労を改善するには、規則正しい生活習慣を取り戻すことが何よりも大切です。重い症状になる前に、疲れを感じたら、すぐに心と身体のケアをしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当