若い人も要注意!ある日突然、痛みが・・・「痛風」にご用心
投稿日: 2022年06月21日
ある日突然、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて激烈な痛みを起こす「痛風」。発作的な症状なので「痛風発作」とも呼ばれます。昔から「風が吹いても痛い」ほどつらいので「痛風」と呼ばれているそうです。どんな病気なのでしょうか?
若い人の間でも増えている痛風
痛風の症状で典型的なのは、関節に起こる痛みと腫れです。もっとも痛風発作の起こりやすい足の指の付け根のほかにも、足関節、足の甲、アキレス腱の付け根、膝関節、手関節などに起こります。また、耳の耳介に小さなコブ状の痛風結節ができたり、腎臓に尿路結石が生じることもあります。
痛風発作の痛みは強く激しく、足に痛風が起きると歩行困難になることもあります。また、発作は夜間に起こることも多く、激しい痛みの後2~3時間すると赤く腫れ、発作が始まって24時間以内に痛みがピークに達します。こうした痛みや腫れは7~10日ほどで治まり、その後、無症状になるという特徴もあります。
しかし、この無症状は痛風が治った、ということではありません。「間欠期」と呼ばれて、放置しておくと次の発作につながり、やがては慢性関節炎に移行していきます。
推計患者数は2013年には100万人を超え、その後も増加していると言われています。男性に圧倒的に多く、昔は年配の富裕層男性に患者が多かったのですが、最近では20~30代の若い男性も多くなっています。
痛風の原因
痛風の原因となるのは、体内に蓄積された尿酸の結晶によって引き起こされる関節炎などです。尿酸はプリン体が体内で分解されてできる「燃えカス」です。肝臓でプリンタ体が分解されて尿酸となり、一時的に体内に溜め込まれた後、便や尿で排泄されます。1日に体内で約700mgの尿酸がつくられて排泄されていますが、健康成人男性の場合、約1,200mgが「尿酸プール」とされています。この尿酸プールが溢れてしまうと「高尿酸血症」となって痛風の原因になってしまうのです。具体的には、血液中の尿酸値(血清尿酸値)が7.0mg/dL以上になると高尿酸血症と診断されます。また、腎臓から尿酸を排泄する能力の弱い人は尿酸値が上がりやすく、痛風になりやすいこともわかってきました。
さらに、次のような要因も尿酸値を上げやすいとされています。
痛風の治療と予防法
痛風発作の治療には薬物療法がおこなわれ、消炎鎮痛薬が用いられたり、局所麻酔剤入ステロイドが関節に注入されたりします。また、発作が治まった後も、慢性化を防ぐため尿酸値をコントロールする薬の長期的な服用が必要になります。痛風の予防には次のことに気をつけましょう。
また、次のような調査結果も報告されています。
痛風の治療には、内科で診察を受け、必要に応じて痛風外来やリウマチ科などを受診していくことがすすめられています。また、関節などの炎症の場合は整形外科への受診がいいでしょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン