「精をつけるためにウナギを食べるといい」は本当?
投稿日: 2023年07月31日
最終更新日: 2023年08月04日
昨日は、土用丑の日でした。ウナギを食べた方も多くいらっしゃると思います。暑いこの時期、昔から「精のつくウナギ」を食べることが奨励されていますが、ウナギで精がつくってどういうことなのでしょうか?今回はその理由についてご説明します。
土用丑の日の由来
ウナギにまつわる風習として有名なのが、7~8月の「土用の丑の日」ですね。夏バテの時期に栄養満点のウナギを食べて精をつけようというものですが、実はこの風習、ただ単にウナギ屋の売上向上のために広められたという説が有力なのです。とは言え、「ウナギを食べて精をつける」という考え方が全くデタラメというわけではありません。ウナギには栄養学的に精力アップや滋養強壮が期待できる栄養素が含まれているからです。「精力」とは、「精神や肉体の活動する力、仕事を成し遂げる元気」のことをいいます。具体的には、疲労回復や免疫力アップ、血流改善、細胞の活性化などがそれにつながります。
ウナギに含まれる栄養素
「精をつけるためにウナギを食べるといい」とよくいわれる理由を知るために、ウナギに含まれる栄養素やその効果を確認してみましょう。
亜鉛
身体の代謝に関わる重要なミネラル。免疫細胞を含む細胞を作る働きやエネルギーを作り出すのを助け疲労回復に働きます。性ホルモンの合成をスムーズにする働きもあるため、精力剤に含まれることも多くあります。
ビタミンA
ビタミンAは目の健康に欠かせないビタミンです。また、粘膜の健康を維持し、免疫力を高めるのにも働きます。
ビタミンB群
糖質・脂質・たんぱく質をエネルギーへと変換する時に必要な栄養素です。代謝を促し、疲労回復に役立ちます。また、新しい細胞を作るのをサポートします。
ビタミンE
ビタミンEは体内で糖質をエネルギーへと変換する時に必要な補酵素となります。代謝を促進することで、疲労回復にも役立ちます。抗酸化作用を持ち、血液をキレイにしたり、血管をしなやかにして血行を良くするのに働きます。「若返りのビタミン」とも呼ばれ、全身の細胞の老化を防ぎます。
EPA
魚油に含まれる良質の油「EPA」を含みます。EPAは、血液や血管の健康を維持し血行を良くするのに働きます。
ムチン
たんぱく質を分解する酵素が含まれ、たんぱく質の吸収を効率よくする働きがあります。また、粘膜を保護して免疫力を高めます。
ウナギに含まれる栄養素
ウナギに豊富に含まれる栄養素を紹介しましたが、ウナギではほとんど摂ることができない栄養素もあります。それは、ビタミンCや食物繊維です。精をつける栄養素をいくら摂っても、不足する栄養素があれば、身体が働く機能のバランスは乱れてしまいます。ウナギの食べ方といえば、うな重や白焼き、う巻きなどが主流。しかし、実はこの食べ方では、ビタミンCや食物繊維はあまり補うことはできません。ウナギは精のつく食材のひとつですが、「そればかり」「それだけ」ではなく、バランスのいい食事の中に精のつく食品を積極的に摂りいれるようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン