「高血圧」の定義を復習しよう
投稿日: 2022年04月13日
最終更新日: 2022年06月06日
厚生労働省の「平成29年(2017年)患者調査)」によると、高血圧治療中の総患者数は約993万人ですが、治療をしないで放置している人、独自で対策をしている人、高血圧に無自覚な人などを合わせると、その推定数は約4000万人(日本人の4分の1)を超えるとも言われています。
そもそも血圧とは血液が血管の壁を押す力のことです。心臓が縮んで全身に血液を送り出すときを「収縮期」、心臓が拡がって全身を巡ってきた血液が心臓に戻るときを「拡張期」と呼んでいます。収縮期には血圧が高くなり、拡張期には低くなります。そして、血圧が高くなって正常範囲を超えた状態のことを「高血圧」とよぶのです。
基準となる血圧の値は、いくつかの場面によって異なります。身近なものを挙げてみましょう。
診察室で血圧を計測する場合
収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上のとき、もしくは両方が140/90mmHg以上になったときに「高血圧」と診断されます。
家庭で計測する場合
収縮期血圧・拡張期血圧のどちらか、もしくは両方が135/85mmHg以上になったときが「高血圧」になります。
・早朝高血圧:早朝に測定した家庭血圧の平均が135/85㎜Hg以上。
・夜間高血圧:夜間測定した家庭血圧の平均値が120/70㎜Hg以上。
ストレス下高血圧
職場や家庭でストレスを感じている昼間の時間帯の血圧が135/85㎜Hg以上になった場合。
白衣高血圧
家庭血圧が基準値未満でも、診察室血圧が140/90mmHg以上の場合。
白衣姿の医療職を前にすると、緊張して血圧が上がってしまうことが多いので、この名前がついています。
このように血圧は、体調だけでなく気分や心理状態によっても変化します。
高血圧は原因が明確かどうかによって分けられ、原因が不明確なものを「本態性高血圧別名:一次性高血圧)」、明確なものを「二次性高血圧」と呼びます。日本人の約9割は本態性高血圧といわれています。原因不明とは言いつつも、遺伝・生活習慣・加齢による血管老化などが強く影響しているのではないかと考えられています。
また、二次性高血圧の原因は大きく4つに分類され、約6割は「腎性高血圧」で、腎臓自体の疾患によるものです。そのほかに、腎動脈の狭窄に伴う「腎血管性高血圧」、副腎の腫瘍が原因となる「褐色細胞腫」、原発性アルドステロン症などのホルモン異常による「内分泌性高血圧」、大動脈や大動脈弁の異常からおこる「大血管疾患による高血圧」などがあります。
血圧を上げる要因が明確で、原因を調べて治療できれば血圧が正常に戻るため、根治も可能となります。若年の高血圧や60代をすぎて急に高血圧になった場合には、二次性高血圧の疑いがあります。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン