統合失調症ってどんな病気?
投稿日: 2023年11月14日
精神疾患の一つである「統合失調症」。幻聴や幻覚、妄想などが起こる病気、というイメージを持っている方も多いでしょうが、実際にはどんな病気なのでしょうか。解説します、
統合失調症とは
統合失調症の発症頻度は人口の0.7~0.8%で、約120人に1人の割合といわれています。15歳~45歳位に発症するケースが多く、文化や地域によって発症頻度がほとんど変わらないので、遺伝的な要因と幼少期の養育環境やストレスが原因と考えられています。近年、脳科学が発展し、統合失調症の患者には脳内のドーパミンという神経伝達物質が過剰になっていることが解かってきました。そこで、これを抑制する抗精神病薬が有効と言われています。
統合失調症の症状
症状は多岐にわたりますが、主に初期(急性期)に現れる「陽性症状」と、激しい症状が治まった後(慢性期)に現れる「陰性症状」とがあります。陽性症状は、幻覚・妄想・思考障害など、病気によって生まれてくる症状です。幻覚は、見えないはずのものが見えたり(幻視)、聞こえないはずの声が聞こえたり(幻聴)といった「知覚の病」。妄想は、「自分は橋の下で拾われた」(貰われ子妄想)「ずっとスパイに命を狙われている」(被害妄想)など、理解できない想像に囚われている「思考の病」です。また、思考障害では、会話にまとまりがなく支離滅裂になったり、突然無関係なことを話し始めたりします。一方、陰性症状は、病気によって失われる症状です。感情がなくなり周囲に無関心になる「感情の平板化」、自分の世界の閉じこもる「自閉」、やる気がなくなり、集中力がなくなる「意欲の低下」がよく起こります。
統合失調症のタイプ
この病気の主なタイプとして、「妄想型」「解体型」「緊張型」があります。
統合失調症の患者との向き合い方
統合失調症に限らず、うつ病などの精神疾患についても、周囲の人には理解に苦しむ言動が多いので、引いてしまったり、怖がったりしがちです。でも、本人は理解されない孤独や自分の症状に苦しんでいますから、辛さや不安などを「わかろう」とする周囲の人の姿勢が大切です。そして、なんとか治療を受けさせ、薬などで症状を押さえながら、精神科リハビリテーション施設なども利用すれば、時間はかかりますが社会復帰も可能です。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン