冬にひく風とは違う？夏風邪の特徴とは

投稿日: 2023年07月27日

風邪というと、冬に流行するイメージですが、今年は夏風邪が大流行しています。夏風邪は冬にひく風邪と違うのでしょうか？今回は夏風邪の特徴について解説します。

夏風邪とは

風邪の80～90％はウイルスの感染が原因で起こります。ウイルスの数は200種類以上あると言われていますが、中には夏の暑さと湿気が大好きなウイルスがいます。エンテロウイルスやアデノウイルスがその代表で、これらが原因となって夏風邪を引き起こすのです。
夏風邪の症状は、喉の痛み、発熱、咳、頭痛など。それに、下痢や腹痛など、胃腸系にくる場合もあります。基本的に、風邪のウイルスに対する薬というのはないので、夏風邪を引いた時は家でゆっくり休んで免疫力を高め、体力の回復を待つことが第一です。「風邪かな？」と思ったら早めに帰宅し、栄養のあるものをしっかり食べて、普段より多めに睡眠時間をとるようにしましょう。食欲がない時は、炭水化物や良質のタンパク質を中心に、柔らかく消化のいい食事を、少しずつでも摂るようにしてください。具体的には、おかゆや野菜スープ、ヨーグルトなど、喉の通りがいいものがおすすめです。
あわせて、脱水症状を予防するためにも、水分補給を忘れずないようにしましょう。汗をかくとミネラルも同時に失いやすいので、スポーツドリンクなどで水分を補給すると効果的です。喉がかなり腫れて、食事や水分を摂ることができないという場合は、点滴などの対処をすることもあるので、症状を悪化させないためにも、早めに病院へ行きましょう。
また、お腹を下している時は、市販の下痢止め薬を使って便を止めてしまうとウイルスが体の外に排出されず、症状が長引いてしまうことがあります。腹痛や下痢が続いている場合も早めに受診して、適切な薬を処方してもらうようにしてください。

夏風邪の予防法

夏風邪を予防するためのポイントは、次の３つです。
 
■うがい・手洗いを徹底する
冬風邪と同じように、外出先から帰ったら、すぐにうがい・手洗いをすることが基本です。ただし、湿って濡れたタオルには、夏風邪のウイルスが繁殖しやすいため、家族の中でかかった人がいる場合は、トイレや洗面所のタオルの使い回しはしないようにしましょう。
 
■クーラーをかけすぎない
室内と外の気温差が大きいと、自律神経（身体を調節する神経）が乱れて体温調節ができなくなり、免疫力が低下して、風邪を引きやすくなります。クーラーは28℃に設定して、風に直接当たらないように注意してください。外出先では、カーディガンなどを持ち歩き、体（特にお腹）が冷えないよう工夫しましょう。
 
■免疫力を落とさないようにする
免疫力の低下も夏風邪の原因のひとつ。睡眠不足や不規則な食事が続いたり、炎天下での外出や運動などによって体力が消耗し、急速に免疫力が低下することがあります。日頃から、バランスが取れた食事や規則正しい生活習慣を心がけてくださいね。睡眠が足りない時は、15分くらい昼寝をすると体力が回復します。
 
「夏風邪」というと、つい軽く考えがちですが、症状が長引きやすいので、油断は禁物。予防法や対処法をしっかり知って、こじらせないようにしてくださいね。
 
＜執筆者プロフィール＞
井上 愛子（いのうえ・あいこ）
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健（働く人の健康管理）のベテラン