中性脂肪を下げるためには果物は控えたほうがいい?
投稿日: 2024年03月15日
果物を食べると中性脂肪が高くなる、という話を聞いたことがあるかもしれません。これは本当なのでしょうか。解説します。
果物を食べると中性脂肪は高くなる?
結論から言うと、果物を食べると中性脂肪が高くなるというのは正しくありません。正確には、果物に含まれる「果糖」という糖質の一種が、中性脂肪を作りやすいということがわかっています。果糖はほとんどが肝臓に移動して処理されます。吸収が速いため、処理できない分はすぐに中性脂肪に合成されてしまうのです。
それでも、健康な方が適量の果物を食べても中性脂肪値が高くなることはありません。果物には果糖が含まれますが、それ以外に、水分、食物繊維をはじめとした多くの栄養素を含んでいるためです。果物によって中性脂肪が高くなる場合には、食べ過ぎや、そのほかの生活習慣の乱れと合わせて起こっているのです。
果物に含まれる栄養素
果物には果糖以外にも次のような栄養素が豊富に含まれます。
- ビタミンA:身体の酸化(老化)を防ぐ働きが強い。新陳代謝を促し、皮膚や粘膜を健康に保つ。
- ビタミンC:身体の酸化(老化)を防ぐ働きが強く、シミやシワの予防やさまざまなストレスに対抗する。
- カリウム:身体の余分な水分や塩分の排出をし、むくみや高血圧を予防する。
- 食物繊維:腸内環境を整え、便秘の予防や改善を助ける。
- ポリフェノール:ビタミンAやビタミンCと同様に酸化を防ぐ働きをもち、老化を抑える働きをする。
果物はどのくらい食べるべき?
日本人の果物の摂取量は年々減っています。また、栄養素の摂取状況でも、ビタミンCや食物繊維はどの世代でも不足している栄養素であるため、果物は積極的に摂りたい食材です。果物を取り入れているあなたの食生活はとてもよいと思います。
ただし、摂りすぎると、それによる影響もあります。果物の甘みは、主に「ブドウ糖」と「果糖」です。どちらもエネルギー源となる重要な栄養素ですが、摂りすぎると血糖値の急上昇や中性脂肪を作りやすくしてしまうなどの影響があり、生活習慣病を引き起こしてしまうリスクになってしまうのです。
では、果物の適量はどのくらいでしょうか。一日の目安は100~200g程度です。100gがだいたいこぶし1個分で、りんご1/2個、みかん中1個、キウイフルーツ1個、巨峰6~7粒、いちご4~5粒、バナナ1本という具合です。ただし、最近の果物は糖度が高くなるよう開発されているものもあるため、目安量を基準に、上手に取り入れることが大切です。とくに中性脂肪が高めの人は100g程度にとどめておき、食べた物が体内にとどまりやすい夕食後は避けて、朝食にだけ取り入れるのがよいでしょう。
果物だけじゃない!果糖を多く含む食品
「果糖」の摂りすぎについては、果物以外でも注意が必要です。普段お料理の味付けやお菓子、飲み物に利用される砂糖は「ブドウ糖」と「果糖」でできています。また、清涼飲料水や甘みのあるヨーグルト、ドレッシング、めんつゆ、タレなどの市販品に利用される甘味料の「果糖ブドウ糖液糖」にも果糖が多く含まれます。このような食品の摂りすぎはありませんか?
また、肝臓の働きが鈍くなると、より中性脂肪を合成しやすくなってしまいます。お酒の飲み方などにも気をつけてみるとよいでしょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当