寒いところに住んでいなくてもなることがある!?「しもやけ」について
投稿日: 2023年12月30日
今年の冬は比較的暖かい日が多いように感じますが、年が明け、これからは寒さが増してきます。寒さにまつわる健康トラブルに悩まされる人も増えてくると思いますが、その一つが「しもやけ」です。今回はしもやけについて解説します。
「しもやけ」とは
しもやけは、専門的には「凍瘡(とうそう)」といいます。寒さや冷えによって血液の流れが悪くなり、炎症を起こして、うっ血や腫れ、水泡などの症状が現れます。手の指や足先にできることはよく知られていますが、ほかに耳たぶや頬なども、しもやけができやすい場所です。また、かゆみや痛みを伴います。たとえば、入浴などで温まったときにはかゆくなり、反対に冷えると、痛みを生じます。
しもやけには、「多型紅斑型(たけいこうはんがた)」と「樽柿型(たるがきがた)」という2つのタイプがあります。多型紅斑型は、発疹やしこり、水泡ができるタイプで、一般的には大人に多いといわれています。いっぽうで樽柿型は、手や足が真っ赤に腫れるもので、子どもに多いタイプです。
しもやけの原因
寒いところに住んでいるとしもやけになりやすい、と思っているかたも多いかもしれません。けれども、しもやけが起こりやすい条件は、気温が4~5℃で、寒暖差が10℃以上あること、といわれていて、寒い地域に住んでなくても、発症する可能性があります。また、真冬よりもむしろ冬の初めや春先のほうが、寒暖差も大きく、発症しやすいともいわれます。
しもやけは、寒さや冷えた環境にさらされたことによる血流の障害と、その血流の回復力が落ちていることが直接的な原因と考えられていますが、同じような環境に住んでいる人でも、毎年しもやけに悩まされる人もいれば、まったくならない人もいます。実は、しもやけの発症には、遺伝的な素因も大きく関係していて、家族でかかっていることも珍しくないといわれています。
しもやけ対策
毎年冬になると発症する人は、何か予防法や対処法を持っておくとよいでしょう。たとえば、次のことがしもやけ対策になります。
・外出時などは、防寒具などで寒さ対策をする
・靴下や衣類などが濡れた時は、着替えをする:濡れたままにしていると冷えの原因に
・血流促進作用のあるビタミンEを含む食品をとる(うなぎ、落花生、アーモンド、卵黄など)
・しもやけができやすい部分はマッサージで血流をよくする
・ビタミンEやヘパリンを含むクリームを塗る
このような対策をとっても、しもやけがまったく改善しない、かゆみや痛みで日常生活に支障をきたしている、春以降もしもやけがよくならない、などのときには、皮膚科を受診しましょう。もしかすると、ほかの病気が原因かもしれません。たとえば、全身性エリテマトーデス。自己免疫の異常によって起こる病気で、発症すると、全身や皮膚、内臓に症状が現れます。いろいろな症状がありますが、その一つとして、寒冷刺激に反応して、しもやけのような症状が出ることがあります。全身性エリテマトーデスは、男性よりも女性がなりやすい病気のため、症状が続く場合には、受診するようにしましょう。最近は、暖房器具の性能が上がったり、機密性の高い住宅も増えていることから、「しもやけにならない」と思っている人も多く、受診した時には重症化しているケースもあるようです。そうならないためにも、早めの対処を心がけてくださいね。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当