「中途失明の原因」第1位 緑内障について
投稿日: 2023年02月27日
中高年に起こりやすい目の病気のひとつ「緑内障」。日本緑内障学会によると、40歳以上の20人に1人が緑内障と推定され、そのうち9割は、治療を受けずに放置されていると言われています。放っておくと失明に至る可能性もあり、日本では中途失明の原因の1位という統計もあります。どんな病気なのか、見ていきましょう。
緑内障とはどんな病気?
「緑内障」という漢字から「視界が緑色になるの?」「目が緑色になる?」と思うかもしれませんが、違います。視野の一部がだんだんと見えなくなり、気づいたときには、見えない部分がかなり広がってしまう病気です。この病気の怖いところは、多くの場合5年、10年、20年とゆっくり時間をかけて、少しずつ見えなくなるので、なかなか気づけないところです。少しぐらい見えにくくても両目で物を見るので、もう片方の目がカバーしてしまい、初期には、ほとんどの人が気づきません。
緑内障の原因
「物が見える」には、黒目(角膜)から入った画像が、目の奥の網膜に届き、視神経というケーブルを通って、脳に情報が伝達される必要があります。緑内障は、このケーブルの視神経が障害されて起こります。原因として、眼球の圧力(眼圧)上昇により、視神経が圧迫されることが指摘されています。眼圧は、通常、目の中の「房水」という透明な液体が循環することで一定に保たれていますが、何らかの原因で房水が流れにくくなると、目の中に房水が溜まり、眼圧が上がります。視神経がどの程度、圧迫に耐えられるかは個人差があり、眼圧検査が正常範囲でも、緑内障を発症するケースが日本人には多いそうです。一度欠けてしまった視野を元に戻すことはできませんので、これ以上進行しないようにつき合っていく必要があります。
緑内障の治療
治療法としては、目薬や内服薬などの薬物療法、レーザー治療、手術があり、眼圧をできる限り下げていきます。一般的には、最初は点眼薬を使い、2~3種類の点眼薬を使うことも多いです。
レーザー治療や手術は、房水の流れを変えるための通り道や排出路を作ったりします。レーザー治療は外来でできますが、手術は入院が必要です。
目薬の正しい使い方
最近の緑内障治療薬の目薬は、とても効果が高くなってきています。しかし、目薬は使い方次第では十分な効果が得られません。大量にさせばよいわけではありません。そこで最後に、目薬の正しい使い方をご紹介します。
- 1.石鹸で手をよく洗います。
- 2.片方の手で下まぶたを軽く引き、目薬を1滴だけたらします。容器の先がまつげや皮膚につかないようにしましょう。
- 3.目薬をさしたら、そっと目を閉じて、目頭を指で軽く押さえて、1~2分そのままにします。目薬が流れ出るのを防ぎ、吸収されるのを待ちます。
- 4.目薬が目からあふれ出た時は、清潔なガーゼかティッシュでふきとります。
2種類以上の目薬を使う時は、5分以上間隔をあけてから点眼しましょう。
数滴点眼する場合や手術後はこのとおりではない場合があります。医師、薬剤師の指示に従ってください。
緑内障はゆっくり進行する病気なので、軽いうちから治療をすればほとんどの場合は失明に至ることなく、日常生活に支障がない程度の視野を保てる人が多くなっています。異常がないと、ついつい後回しになりがちな定期検査。忘れずに目の定期検査をしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当