エナジードリンクに潜む健康リスクとは
投稿日: 2023年10月20日
最終更新日: 2023年10月23日
エナジードリンクは、疲労回復や健康に効果があると言われている、栄養ドリンクの一種。最近ではさまざまな種類が販売され、疲れたときや、やる気をだしたいときに飲む人も多いでしょう。とはいえ、エナジードリンクは飲むタイミングや量、成分を考えないと危険なことにもなり得ます。なかには栄養ドリンクによって元気になるつもりが、体調不良を起こしてしまう人も。いったいどんな危険性が潜んでいるのでしょうか?解説します。
エナジードリンクの愛飲者は男性に多い
2021年5月にネットリサーチ会社が10,042名の男女を対象に行った「エナジードリンクに関するアンケート調査」によると、エナジードリンクを使用している人は4割強。特に男性に多く、10~40代において「飲む」と回答した人の6割が男性でした。さらに、どんなときにエナジードリンクを飲むかという質問に対しては、「疲れているとき」が3割強、「休憩中・休み時間」や「気分転換したいとき」は2割前後でした。中には「喉が渇いた時」と回答した人もいました。
エナジードリンクの効果
エナジードリンクには、パワーの素としてアミノ酸の一種の「アルギニン」や「ショウガ抽出物」が含まれています。アルギニンには、成長ホルモンの分泌を促進させたり、免疫力機能を向上、脂肪の代謝を促進させる効果があると言われています。たしかに成長ホルモンの分泌を促進し、免疫力をアップさせることはありますが、飲んですぐに効果が発揮されるわけではありません。アルギニンは5gほど摂取するといいと言われていますが、エナジードリンク1本あたりに含まれるアルギニンは1g未満しか含まれていないことが多いのです。とはいえ、たくさんエナジードリンクを飲めばいいかといえば、そうではありません。飲みすぎると身体に悪影響をおよぼしかねないからです。
エナジードリンクによる悪影響
一般的なエナジードリンクには多量の糖分が含まれています。これは、低血糖からくる脳の働きを活性化させる目的として、糖分をたくさん含んでいるからです。そのため、毎日飲み続けたり、大量に飲んだりすると、必然的に糖尿病や肥満のリスクが高まります。また、エナジードリンクにはアルコールやカフェインなどの成分も含まれています。そのため、風邪薬や睡眠薬と一緒に飲むと、相互作用により頭痛や障害を引き起こす恐れがあります。睡眠の効力が強くなりすぎて吐き気や頭痛を引き起こしたり、血糖のコントロールができなくなる可能性もあります。「エナジードリンクを飲んで元気になった」という人は、もしかしたらプラシーボ効果が働いているのかもしれません。いずれにせよ、飲む際は用量や用途を踏まえて気をつけて摂取しましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン