手のひらがかゆい・・・考えられる原因とは
投稿日: 2024年02月19日
虫に刺されたわけでもないのに手のひらがかゆい・・・そんな経験はありませんか?手のひらにかゆみが現れるメカニズムをご説明しましょう。
手のひらがかゆくなる原因
手のひらがかゆくなる原因は次のようにいくつか考えられます。手自体におこっている原因による場合もありますが、内臓の病気が原因で症状が現れてくることもあります。
乾燥によるもの
冬ではとくに空気が乾燥するにつれ、身体全体の肌が乾燥していき、手のひらのかゆみも出てきます。皮脂が少ない手のひらは、かゆみも感じやすいのです。また、手のひらは洗顔したり、調理や洗い物のときに水に触れるため、表面の脂が流れ落ちて乾燥しやすい状態になります。さらに、冬場は空気も乾燥しやすいので手の皮膚が乾燥することもあります。また、寒さで血行不良になり乾燥が進むこともあります。乾燥が進んでいくと皮がむけたり、硬くひび割れてしまうこともあります。乾燥によるかゆみを防ぐには、ハンドクリームをこまめに塗ることが一番です。とくに保湿力の高いものを選んで、いつも潤いのある状態にしておきましょう。また、寒さによって血行不良を起こし、乾燥が進むことがあります。そんなときは手のひら全体をマッサージすることも効果的です。そして、寒い日、外に出るときは手袋を着用しましょう。
アレルギーによるもの
手のひらにアレルギーのある物質が触れてアレルギー反応を起こすことで、かゆみがでることがあります。中には、自分が何のアレルギーなのかを知らないまま、その原因物質に触れていたり、目に見えないダニのようなものが原因となっている場合もあります。さらに、食べ物のアレルギーによってかゆみがでることもあります。この場合は、何によって起きているのかを確認することが大切です。血液検査で知ることができますので、内科、アレルギー科を受診しましょう。食べものが原因の場合は、手のひらだけでなく身体中に湿疹が出てきます。何を食べたのか、書きとめて受診の際に医師に伝えましょう。
手湿疹
女性に多くみられるもので、「主婦湿疹」などと呼ばれたりします。おもに食器洗いや掃除、洗濯などの水仕事によって発症します。手のひらに水が当たると皮脂がなくなってしまいますが、その状態で刺激の強い洗剤を使うことで、皮膚に炎症がおきて湿疹がでてしまうのです。かゆみを防ぐには、水仕事を終えた後、すぐに保湿をすることが重要です。ハンドクリームを指先まで丁寧につけます。また、ゴム手袋をつけて水仕事をすると、水が皮膚に直接触れず、手のひらを守ることができます。ゴム手袋がアレルギーを起こすなら、刺激のない素材の手袋を選ぶといいですね。
肝臓疾患
肝臓の機能が低下すると、手のひらだけでなく、身体のあちこちがかゆくなることがあります。肝臓は病気になっても症状が出にくいのですが、数少ないサインの一つが手のひらのかゆみです。さらに、肝機能が低下することで、かゆみを起こす物質が増えていき、全身に激しいかゆみを感じるようになってきます。全身に激しいかゆみの症状が現れた場合には、早めに内科を受診して診察を受けましょう。
掻くとさらにかゆみが増す
ヒトの皮膚は表皮、真皮、皮下組織でできています。皮膚の表面に何らかの刺激が加わると、皮膚の真皮にあるマスト細胞から「ヒスタミン」という物質が出てきます。ヒスタミンが脳に伝達されると、私たちは「かゆみ」として認識し、掻いてしまいます。でも、掻いてしまうことでさらにヒスタミンは分泌され、かゆみの部分がもっと広がってしまうのです。ですから、かゆみが強い場合は原因にあわせて対処し、かゆみの連鎖を断ち切ることが欠かせません。原因がわからない場合やかゆみが強い場合はやはり皮膚科の受診をおすすめします。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン