寒くなると増えるお悩み 「鼻づまり」の原因と対策
投稿日: 2022年12月02日
例年、季節の移り変わりで寒暖差が激しくなると、鼻づまりで眠れないという経験をする人が増えます。鼻づまりになると口呼吸になって喉が渇いたり痛くなったりもします。そこで今回は、鼻づまりの原因と対策についてご紹介します。
鼻づまりの原因
鼻づまりにはいくつかの原因があります。よく起こるものをいくつか挙げてみました。
〇 副鼻腔炎(ふくびくうえん)
鼻腔(鼻の孔)を取り囲むように左右合計8つある空洞の「副鼻腔」。ここに膿が溜まるのが副鼻腔炎です。慢性になると「蓄のう症」と呼ばれます。
〇 アレルギー性鼻炎
花粉症や寒暖差などによる鼻炎で、アレルギー反応を引き起こす原因物質(アレルゲン)によるアレルギー反応が鼻づまりとなって表れます。
〇 慢性上咽頭炎(まんせいじょういんとうえん)
鼻とのどの境目にある上咽頭部分の炎症。3週間以上続くと「慢性」になります。
〇 鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
左右の鼻を分けている鼻の真ん中にある仕切り壁を「鼻中隔」と言います。ここが歪んで曲がってしまうことで鼻づまりが起こります。
それぞれの症状や病気によって、鼻づまりの状態や鼻水の性質が違ってきます。しばらく鼻づまりが続くようなら耳鼻咽喉科を受診して、鼻づまりの原因を特定して適切な治療を行うことが大切です。
鼻づまりを放っておくとどうなる?
鼻づまりを放置しておくと口呼吸をする状態になってしまいます。特に寝ているときは口呼吸が激しくなりがちです。そうすると次のようなことが起こりやすくなります。
・細菌やウィルスの侵入を許して喉や身体を傷める
・風邪やインフルエンザなどに罹りやすくなる
・口の中が乾燥(ドライマウス)して咽頭炎を起こしやすくなる
・冷たい空気によって喉を冷やす
・口臭の原因になる
鼻づまりの対策
鼻づまりが気になったらどうするかをピックアップしてみました。
〇 首の後ろを温める
首の後ろを蒸しタオルなどで温めます。できれば「大椎(だいつい)」というツボを温めることがおすすめです。
〇 鼻をつまんで頭を上下に動かす
できるだけ深く息を吸い、ゆっくりと息を吐きます。そのあと鼻をつまんで頭を上下にゆっくりと動かします。身体を起こしてやってください。
〇 舌で上あごを押す
舌で上あごを上方に数秒押します。その後、舌を離して眉間を指で押します。これを数回繰り返します。
〇 ペットボトルを使う
つまっている鼻の反対側の脇の下に500mlのペットボトルを挟みます。横になって寝ることで上側の鼻の通りがよくなることがあります。脇が圧迫されて交感神経が刺激されて鼻の血管が収縮して、一時的ですが鼻の通りがよくなるとのこと。耳鼻咽喉科専門医が考案した方法です。
〇 薬を使う
点鼻薬など鼻炎薬を服用することに加えて、風邪対策の塗り薬を使用する方法もあります。使用にあたっては医師や薬剤師の助言をしっかりと得ることが大切です。
〇 メンソールやハッカ油などの使用
メンソールやハッカ油などはアルコールの一種の有機化合物で、ご存知のように少量使うことで鼻をスッキリさせてくれます。
〇 蒸しタオルで温める
蒸しタオルで鼻を温めると楽になります。
〇 ベッドで寝る
ハウスダストは床から15センチメートルにたまるという説があり、布団だとハウスダストを吸い込む可能性が高まります。
〇 加湿器の使用
乾燥によって鼻の粘膜を傷めたり、低湿度によってハウスダストやウィルスが浮遊しやすくなることを防ぎます。
〇 鼻うがいをする
最近では、手軽に鼻うがいができるグッズも市販されています。
〇 鼻カイロ
朝起きたてに温かい蒸しタオルを乗せる「鼻カイロ」もおすすめです。
〇 鼻腔拡張テープ
鼻に貼って鼻腔を拡げる「鼻腔拡張テープ」があります。。
以上、鼻づまり対策のあれこれをご紹介してきました。最後にもう一つ。アルコールを飲むと鼻づまりが起きやすいことはご存知でしょうか。アルコールには脱水を促す利尿作用があります。それで粘膜が乾燥し鼻づまりが起きやすくなるのです。また、アルコールによって血行が良くなるので、血管が広がって鼻の粘膜の「海綿体」が血液を溜め込んで腫れて鼻づまりにつながることも指摘されています。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン