冬に起こりやすい低温やけどについて
投稿日: 2022年12月05日
どんどん気温も下がってきているこの季節。すぐに身体や足が冷えてしまって、眠るとき辛いことが増えてくるでしょう。最近は、湯たんぽや足先用のカイロなどあたためグッズも色々ありますが、気をつけたいのが「低温やけど」です。そこで今回は、この低温やけどについて解説します。
低温やけどとは
やけどは「時間×温度」の関係で発症します。44℃では3~4時間、46℃だと30分~1時間、50℃なら2~3分接触し続けると発症してしまいます。この 「温かくて気持ち良い」くらいの温度に接触し続けることにより起こるやけどを、「低温やけど」といいます。低温だからと侮る人もいるかもしれませんが、実は低温だからこその危険があります。というのも、低温やけどは熱さや痛みを感じにくく、ゆっくり進行するため、「表皮」「真皮」「皮下脂肪組織」にまで及ぶ深いやけどになってしまう可能性があるからです。見た目が重症に見えないため、危険だと感じにくい低温やけどは、ひどい場合には、治るまでに何か月もかかったり、植皮手術が必要になったり、傷から感染を起こして入院治療が必要になることもあります。
低温やけどの症状と対策
「皮膚に赤みがある・あざのように輪郭がはっきりしている・小さな水泡がある・痛みを感じにくい・放置していたら白っぽくなってきた」、 このような症状があれば要注意です。大きさは、直径4~5cmくらいまでが多いようです。では、低温やけどを起こした場合どうすればいいでしょうか。
かなり時間がたってから気づくことが多いので、有効な応急処置はなく、急いで病院へ行き、適切な治療を受けることが大切です。皮膚科や形成外科を受診するといいでしょう。もちろん、患部を冷やして問題になることはないので、気になる人は、冷やした清潔なタオルをあてて、病院へ行ってください。うたたね程度で、やけどを起こしたばかりだったら、すぐに水で冷やしてから受診しましょう。症状の判断がつかず、病院に行くべきか判断に迷っても、受診して医師に判断を仰ぐことをおすすめします。
低温やけどを予防するには
低温やけどだと気づいたらすぐに対処することは必須ですが、まずは、暖房グッズを正しく使用し、低温やけどを未然に防ぎましょう!暖房器具を付けたまま居眠りをしない、タイマーを利用する、湯たんぽなどは厚手の布製袋に入れてむき出しでの使用は避ける、貼るタイプのカイロは必ず衣類の上に貼り、同じ個所に長時間あてない、カイロを貼ったまま眠らない、またカイロを貼った上から圧迫しないようにするなどです。靴用カイロは酸素の少ない靴の中での使用するように作られているので、靴を脱いで使うと、酸化反応が過剰におこり、高温になる危険があり、やけどの危険が高まります。使用方法を必ず確認し、適切な使い方を守ってください。
最近では、パソコンなどを膝の上に置いたまま長時間作業してしまうことがきっかけになることもあるようです。熱中してしまい、気づかぬ間に時間が経っていて、結果として低温やけどを引き起こしてしまうことがあります。ふだんからデスクなどで正しい姿勢で作業をするように意識することも、低温やけどの予防につながると言えるでしょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら ゆうな)
保健師・看護師。株式会社Mocosuku社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当