脳はどうやって成長するの?
投稿日: 2022年04月13日
最終更新日: 2022年06月06日
身体ばかりでなく心の司令塔の役目も果たしている「脳」。
ヒトの大人の脳の重さは、正式には約1200~1500グラムと言われています。
ちなみに、象は約4000グラム、マッコウクジラだと約8000グラムもあるそうです。
脳のはじまり
人間の脳は受精してから約20日後につくられます。
「妊娠2か月」頃ですから、お母さんが、まだ妊娠したことに気がついていないかもしれない時期に「脳」はつくられます。
といっても、この時期は脳の元となる「神経管」というもの。
それが、妊娠3か月頃になると、大人の脳っぽくなります。
妊娠7か月頃にはヒトの脳を象徴する「大脳皮質」がほぼ完成し、妊娠9か月では、神経細胞が大人の数と同じ約140億個となるそうです。
脳の成長
お伝えしたように、大人の脳の重さは約1200~1500グラムですが、生まれたばかりの赤ちゃんの脳は約400グラムです。
神経細胞の数はそろっていても、成人の30%くらいの重さしかありません。それが、みるみる重くなっていきます。生後6か月で、大人の50%、1歳で60%、6歳までには大人の95%に達します。
でも、ここからはペースがゆっくりになります。重さが100%に達するのは、なんと18~20歳なのです。脳は実に20年かけて完成します。
この間、何が起こっているのでしょうか?
脳が重くなるのはなぜ?
これまでの研究で、二つのことが起きていることが判ってきました。
一つは、神経細胞がネットワークを構築すること。
細胞の数は140億でも、それぞれが配線をして繋がって、ネットワークができていくにつれて、脳は重くなっていきます。いわゆる配線の数、長さ、からみ具合が複雑になっていきます。これがどういう形になるかと言うと、たたんでシワ(脳溝)になります。
ちなみに、成人の脳の場合、すべてのシワを伸ばして拡げると、大脳皮質の表面積は約2200平方センチ、新聞1ページ分の大きさに相当すると言われています。これが、頭蓋骨の中の限られたスペースに収まっています。
脳が重くなるもう一つの理由は、「グリア細胞」の数が増えることです。
最近まで、神経細胞は一度できたらそれ以上はできないと言われてきましたが、最近、新生する部分があることが判りました。
グリア細胞は神経細胞と違って、身体の他の細胞と同じように、新生・増殖していきます。
このグリア細胞は、その働きの謎が解明されつつあって、これまた、脳科学の最近の注目事の一つです。
主役の神経細胞(ニューロン)の脇役と言われてきたグリア細胞。
神経細胞に栄養を与えるアストロサイト、傷ついた神経細胞を修復するミクログリア細胞など、補助的な働きもさながら、最近では、ニューロンの情報処理にもっと積極的に関わっているのではないか、という可能性も研究されているそうです。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン