看護師はなかなか恋愛できない? その理由は
投稿日: 2019年01月30日
最終更新日: 2024年02月20日
執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師)
看護師は忙しすぎて出会いのチャンスや恋愛する余裕はない、という声を耳にすることがあります。
また、看護師は未婚率が高いとも言われています。
しかし、それが現実なのかイメージなのかは判断が難しいところ。
ここでは、看護師特有の職場事情や働き方を踏まえながら、看護師と恋愛の関係について探ってみましょう。
このページの目次
看護師は恋愛のチャンスが多い? 少ない?
看護師は恋愛のチャンスが多いのか少ないのかと訊かれると、「充分に恋愛ができている」という人もいれば「恋愛とは縁遠い」という人もいて、ずいぶんと個人差があるようです。
看護師でない友人からしてみると、「看護師って出会いが多そうね」とか「合コン受けしそうだね」などといったイメージを持たれていたりしませんか?
でも、実際に身近にいる看護師を見ていると、恋愛のチャンスが多いのか少ないのかは、ほんとうに人それぞれです。
ですから、周囲がもつ看護師へのイメージはともかくとして、「看護師だからといって特別なことはない」と言えるのではないでしょうか。
働き盛りでなかなか恋愛できない看護師は多い?
実際、「看護師がなかなか恋愛できない」ということについて実態がどうなのかを知るのは難しいものです。
とはいうものの、看護師の未婚率についてのデータはあります。
昔と違って現代の日本では一般には9割近くが恋愛結婚ですので、看護師の未婚率をつぶさにみることによって恋愛事情を推定することは可能になるかもしれません。
看護師の未婚率を年齢別でみるとどうなっているのかを見てみましょう。
2005年の国勢調査による女性の年齢別未婚率と、同年の看護職員実態調査による看護職の未婚率を比べてみると、どの年齢においても看護職の未婚率のほうが国勢調査による女性未婚率よりも高くなっていました。
年齢別に見ると、30代前半で約1.5倍、30代後半で約2倍、40代前半と後半ではともに約1.8倍と、看護師の方が未婚率は高い傾向を示しています。
ですから、働き盛りの年齢で結婚(あるいは恋愛)をしていない看護師は多いのかもしれません(ただし、看護職の未婚率の中には男性も含まれています)。
先ほど生涯未婚率において他の職種と比べて看護師の未婚率は高くないと言いましたが、ここで示したように、働き盛りの人たちの未婚率が高い傾向が、「看護師はなかなか恋愛できない」というイメージに影響をしているのかもしれません。
そこには次に述べるような看護師の暮らし方が現れてきます。
看護師がなかなか恋愛できない理由とは
病院や診療所でバリバリ働いている看護師については、確かに「しばらく恋愛はしていない」という声がよく聞こえてくるという印象はあります。
その要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
働き盛りの看護師が恋愛できない事情として考えられるものには、たとえば以下のようなものが挙げられます。
出会いが少ない環境や生活
・普段の日常生活がパターン化。、病院と自宅の往復やスーパーへの買い物くらいしかしないため、まったく出会いがない
・比較的アクティブで娯楽に費やせる程度のお金もあるため、おいしい料理やお酒、温泉、海外旅行、フェス、遊園地、映画、ショッピングなどバラエティに富んだ休日を過ごせて満足している。でも、気づいたらいつも一緒に遊ぶ人が限られてきて、みな恋愛とは縁遠い仲間同士になってしまった
・家族や友人には、医師との出会いを期待されたりうらやましがられたりすることがあるが、自分には医師との縁はない。人柄のよい医師はすでに結婚している
気持ちや時間に余裕がない生活
・生活がパターン化しすぎる上に、病院と自宅の距離が近く、出勤時の美容や服装を気にしなくなってしまっている。ときにはメイクもせずにマスクと眼鏡で一日を乗り切ることもあるほど
・帰りが遅かったり夜勤が多かったりして疲れていることも多いので、一人で過ごす時間が貴重に思える。寝るまでのあいだに、テレビやネット動画を見たりお酒を飲んだり、お風呂につかったりするくらいで至福
・看護師でない人とも友達の紹介などで知り合うことはあるが、生活のリズムが合わない。よっぽどの好印象でないかぎり、会える日を探すためにシフトとにらめっこするほどの気力は湧いてこない
あなたが肯けるものは、どれくらいありましたか?
もちろん、恋愛できない理由は人それぞれですので、ピタリとくるものはないかもしれません。
でも、仕事に精いっぱいで恋愛に割いているような時間なんてない、という看護師は案外と多いのではないでしょうか。
たとえお近づきになった人がいても、時間が合わなかったりしてなかなか会えないということもあるでしょう。
それくらい看護師の仕事はハードな場合がほとんどです。
とりわけ中堅として忙しくなってくる年齢の看護師は、恋愛をしたくてもその余裕がないということは多いのかもしれませんし、それが尾を引いてチャンスを逃したままになってしまうことも考えられなくはありません。
いま恋愛していなくても、結婚はできる!?
この記事を読んでいる方の中にも、「いま恋愛ができていないから、これから結婚もできないのでは…」と思われている看護師の方がいるかもしれません。
そこで、ちょっとおもしろいデータをご紹介しましょう。
恋愛経験が結婚の前提条件であるかどうかを調査した社会学者がいるのですが、2015年に行われたその調査では以下のようなことが報告されています。
・これまでに経験した交際相手が一人でもいれば、結婚は3倍しやすくなる
・これまでにキスをした経験が一人とでもあれば、結婚は2倍しやすくなる
・恋愛やキスの経験がなくても、女性で5割、男性で3割は結婚している
この調査は20~69歳を対象としているので、結婚前に恋愛やキスの経験がないというのはお見合い結婚の場合もあるかもしれません。
しかしこれまで恋愛の経験がそれほど多くなくても、一人でもキスをしたことがあったり恋人がいたことがあったりすれば、結婚の可能性は高くなるということでした。
つまり、現状として恋愛のチャンスが少ないということが、将来の結婚にとって必ずしも不利ではないということですね。
諦めたり決めつけたりする充分な根拠があるわけではないことをこの調査結果は結論づけていると読むことができます。
【参考】
恋愛経験は結婚の前提条件か ―2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査による量的分析―
まずはセルフケアから始めませんか?
「でも結婚の前に、そもそも恋愛もできていなんいんだけど…」と思われたかもしれません。
世の中には「婚活」にまつわるサービスが多くあります。
しかしその前に、まずは生活の中でできることから始めてみませんか?
なにも「恋愛をするため」とか「いつか結婚するため」と考えなくてもよいでしょう。
ここでは「恋愛できない理由」を改めて振り返り、セルフケアできるものをあげてみました。
〇 出会いが少ない環境や生活を変えるには
- 友達や同僚と食事をしたりお茶をしたりする機会を積極的に持つ
- 少しだけ寄り道をして帰る(いつもより少し遠回り、コンビニや本屋に立ち寄る、ウィンドウショッピングをする、一人でも外食をするなど)
- 休みの日に、いつもと違う人と遊んだり会ったりする
- 職場でも業務連絡以外の会話を楽しんだり、院内委員会や勉強会などでは意識して、なるべく部署以外の人と関わってみる
- 業務を負担し合える同僚を見つけ、協力して早く帰れる日を作る
〇 気持ちや時間に余裕がない生活を変えるには
- 仕事後に予定がなくても、服装や髪形を気にしたり、メイクをしたりして容姿に配慮する習慣をつける
- シフトが出たら、アクティブに活動する休日と身体を休める休日とを決めて、過ごし方にメリハリをつけることを意識してみる
- 無理に変わろうとせず、一人の時間も大事にする
- 心身の不調を放っておかない。特に、食欲不振だったり、眠れなかったり、逆に休みのほとんどを寝て過ごしたりするなど、不活発な状態は長引かないようにする
- どんなに忙しくても、なるべく欠食をせずにバランスのよい食事を取ることを心がける
- ちょっとしたことでもよいのでリラックスできる時間を作り、質のよい睡眠を取れるようにする
- 短時間でもできる運動の習慣をつける(寝る前のストレッチ、ウォーキングやジョギングなど)
このような工夫と変化を仕事や生活の中にもたらすことで、実際には消極的になっていた恋愛や結婚への意欲を再びリフレッシュできれば、それが「ご縁」へとつながっていく確率も高くなっていくことでしょう。
新しい人と「出会わなくちゃ」と義務意識に縛られていると、積極的に人と関わる機会を持たなければダメだと考えがちです。
それよりも、まずは自分の内面を充実させることのほうが近道なのかもしれません。
あなたの周囲を見てみてください。
自分に自信やほこりを持っている人と、つまらなさそうに仕事をしている人と、どちらが輝いて見えるでしょうか?
忙しいなかでも自分の時間を満足のいくものにし、ささやかなことにも驚きと好奇心を忘れずに、そして、なにより心からの笑顔でいることができれば、あなたの輝きに気づく人は現れるはず。
あなたの魅力を見出す人は案外、ごくごく近いところにいたということも少なくないかもしれません。
なかなか恋愛できない理由:まとめ
- 看護師は恋愛の機会が多いイメージがあるが、人それぞれである
- 看護師の生涯未婚率は、さほど高くはない
- 働き盛りの年齢の看護師には、結婚していない人が多い
- 看護師特有の出会いが少ない環境や生活パターンになったり、気持ちや時間に余裕がない生活パターンになったりしている可能性がある
- 現状として恋愛ができていなくても、これまでに恋愛やキスをした経験があれば結婚できる可能性は高い
- 恋愛できないことに気がついたら、その状況を放置せずに早めに何かに取り組む
- 恋愛や結婚を視野に入れるのであれば、まずはパターン化した生活を見直してセルフケアに取り組むことが大事
- 積極的に人と関わることも大事だけれど、何より自分の内面を充実させることが一番
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<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通