アウトドアの際に知っておきたい!ケガの応急処置について
投稿日: 2024年05月23日
アウトドアにぴったりのシーズンですね。山や川、海など、レジャーを楽しんでいる中でケガをしてしまうこともあるでしょう。そんな時のために、病院に受診する前の応急手当ての方法を解説します。看護師さんには釈迦に説法かもしれませんが、改めておさらいしてみましょう。
基本の応急処置
まず、基本となるのは直後のケアです。「RICE」と呼ばれています。「RICE」とは、捻挫や打撲などへのケアの基本を示す頭文字を並べてあります。
- Rest(安静):なるべく安静に。時にはテープや包帯で固定することも必要になります。
- Icing(冷却):氷嚢や冷感シップなどで患部を冷やします。炎症の広がりを抑えます。事故後30分以内が効果的です。
- Compression(圧迫):腫れや内出血を最小限にするため、包帯などで軽く圧迫します。強すぎや長時間の圧迫は、血液循環を妨げてしまうのでNGです。
- Elevation(持ち上げる):腫れや内出血などを防ぐため、患部を心臓より高い位置に上げると、血液やリンパ液の流入を抑えられます。足首や膝なら台の上に乗せるなどしましょう。
次に、擦りむいたりした患部を、消毒しないで洗浄するだけで、患部を湿ったまま密封する、傷のケア方法です。細胞の成長や再生を促す成分が含まれる体液(傷口から出てくる透明な液体)を傷口に保持することで、ほんらい持っている自然治癒力を使います。傷を消毒すると、傷を治そうとする働きも殺すことになり、かえって治りが遅くなってしまうことから、湿潤療法(しつじゅんりょうほう:モイストヒーリング)が今、注目されています。
ケース別対処のポイント
以上のポイントを踏まえて、ありがちな、いくつかのケースを考えてみましょう。
転んで擦りむいた!!
最初に洗浄をします。ケガをした部位には砂やゴミなどが入っています、そのため、洗浄しておかないと、皮膚の中に残ってしまう恐れがあります。よく流水で流してください。洗浄した後は、市販の湿潤療法用の絆創膏を貼っておきましょう。血が多かったり、化膿していたり、患部が熱を持っているなら、病院へ受診しましょう。
火傷の初期対応
やけどの初期対応は、ひたすら冷やすことです。服の上から熱湯などがかかった場合は、服の上から冷やします。脱がそうとすると皮膚まで剥がれてしまうことがあります。やけどを負った後、水ぶくれができることがあります。これは、つぶさないでください。水ぶくれは、まさに自然の湿潤療法です。もし、つぶれたり、つぶした場合は、洗浄後、市販の湿潤療法用の絆創膏を貼ってください。
鼻血を止めたい!
鼻血を止血するには?衣服をゆるめて椅子などに座り、綿やガーゼを丸めたものを鼻に詰めて、小鼻を両側からつまんで10~15分くらい圧迫してください。
目にゴミが入った
目にごみや異物が入ったら、絶対にこすらず、瞬きで涙と一緒に流すか、水を張った洗面器に顔をつけて、瞬きをしてください。ガラスなどの破片が入った場合は、ハンカチやガーゼなどで小さな円座を作り、目の周囲に当て、その上から両目を包帯で覆います。片眼だけだとケガをした方も動かしてしまうので、気をつけてください。なお、薬品や洗剤が目に飛んで入ったら、すぐに洗眼です。目を下に向けて流水で流します。
応急手当を施したあとは、状態によって受診を促すか、救急車を呼ぶなど、適切な事後処置を取りましょうね。では、楽しいアウトドアライフを満喫してきてくださいね。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン