月経痛と食べ物のお話
投稿日: 2022年05月10日
最終更新日: 2022年06月06日
毎月、月経痛に悩まされている女性は多いでしょう。月経痛の対処法はさまざまですが、実は食べ物が月経痛の緩和に役立つことがあります。
そこで、月経痛の緩和におすすめの食べ物や飲み物、そして、月経痛を悪化させ得る食べ物・飲み物について、ご紹介します。
月経痛を悪化させる原因
まず、月経痛は婦人科系の病気が原因でひどくなることがあります。ですから、慢性的に月経痛がひどい人は一度、婦人科を受診することをおすすめします。
とくに病気などがない場合には、次の2つのことが月経痛の悪化に関係している可能性があります。
冷え
月経痛は子宮を収縮したり、炎症を促進する働きのある「プロスタグランジンE2」という物質が過剰に分泌することで起こります。
プロスタグランジンE2が過剰に分泌する原因のひとつは「冷え」です。身体が冷えて血流が滞ると、子宮の機能が低下し、月経血を外へ出す働きが鈍くなります。そうすると、子宮を収縮して月経血を押し出そうとプロスタグランジンE2が過剰に分泌します。
ストレス
ストレスは自律神経を乱します。女性ホルモンは自律神経が調節しているので、自律神経のバランスが乱れると女性ホルモンのバランスが乱れ、子宮の働きを鈍らせてしまいます。
月経痛の緩和に役立つ食べ物
冷えやストレスを解消する食べ物は、月経痛の緩和につながります。おすすめの食べ物をご紹介します。
生姜
生姜に含まれる「ジンゲロール」「ショウガオール」という成分は、末梢の血管を拡張し、血行を促して身体を温めます。生の生姜を取り入れるのはもちろん、乾燥させた生姜パウダーは、食べ物にも飲み物にも手軽にプラスできておすすめです。
プルーン
カルシウムや鉄分などのミネラルを豊富に含んでいます。血行を良くし、冷えを改善するのに働きます。糖分のとり過ぎは冷えにつながってしまうため、ドライプルーン2~3個程度が適量です。
アーモンド
アーモンドは、血管をしなやかにして血流をよくするビタミンEやマグネシウムを多く含んでいます。マグネシウムには、子宮収縮を緩める作用があるとも言われています。
青魚
青魚に含まれるDHAやEPAは、血液をきれいにするアブラです。さらに、子宮収縮を抑える働きをします。アジ、サバ、イワシ、カツオなどに多く含まれます。
月経痛を緩和する食べ物を積極的にとりいれるのと同時に、1日3食、バランスのとれた食事を心がけましょう。そうすると、自律神経のバランスが整い、ストレスの解消はもちろん、冷えの改善、ひいては月経痛の緩和につながります。また、ダイエットなどで食事量が少ない女性の場合には、エネルギー不足で熱量を十分に補うことができずに冷えを引き起こしていることもあります。プルーンやアーモンドを間食として上手に取り入れることもおすすめです。
月経痛の緩和に役立つ飲み物
ハーブティー
ノンカフェインで、種類によってさまざまな効果を得ることができるハーブティー。香りによるリラックス効果も期待できます。最近では、「月経痛緩和に」「女性のために」と謳われているものもたくさんあります。血流をよくする効果や女性ホルモンのバランスを整えるものがそれにあたります。次のものがおすすめです。
・カモミール:鎮痛作用や月経時の血液の流れを良くする効果がある。
・ラズベリーリーフ:筋肉を緩める効果があり、子宮の機能を高める。鉄分やビタミンCなどが多く含まれ、貧血を和らげる効果がある。
・サフラワー:血行を良くして冷えを改善する効果がある。
ココア
ホットココアは、身体を温めることと、カカオポリフェノールによるリラックス効果が月経痛を緩和してくれます。マグネシウムや鉄分を含み、自律神経を整え、血行を促す働きがあります。ただし、ココアはコーヒーの10分の1程度ではありますが、カフェインを含んでいるので、1日1杯程度にして、飲みすぎないようにしましょう。また、砂糖を多く含む製品も多いので、ピュアココアに三温糖や黒糖など、未精製の砂糖やハチミツなどを加えて飲むといいでしょう。
摂り過ぎに注意したい食べ物
冷たいもの
身体を直接冷やして、全身の血行を悪くし、血液が集中する内臓や子宮の働きを鈍らせてしまいます。たとえば、飲み物なら常温で飲むか、温めて飲むようにしましょう。
白砂糖の多いもの
たいていの甘い食べ物・飲み物には「精製された白砂糖」が使用されています。白砂糖は身体を冷やします。その理由はふたつあります。
ひとつは血糖値の急降下。白砂糖は吸収が早く、血中の糖分濃度=血糖値が急上昇します。血糖値が急上昇すると、身体はそれに反応し、急降下させて元の状態へ戻そうとします。急激な血糖値の低下は体温を低下させてしまうのです。
もうひとつの理由はビタミンB群不足。精製度の高い白砂糖はビタミンやミネラルが取り除かれ、糖以外の栄養素はほとんど含まれていません。さらに、糖を体内でエネルギーとして使う時にはビタミンB群を必要とするため、過剰に摂るほどビタミンB群は不足気味になります。ビタミンB群は赤血球の生成に不可欠で、血液の量が少なくなると血流が悪くなり冷えにつながります。
カフェインが含まれる食品
カフェインは血管を収縮する作用があるため、血行を悪くして身体を冷やし月経痛を悪化させるといわれています。カフェインを多く含む飲み物は、玉露やコーヒー・ココア・コーラ・紅茶・緑茶・栄養ドリンクなどです。多少のカフェインは問題ありませんが、1日にコーヒーを4~5杯飲む人や月経痛がひどい人は、できるだけ控えるようにしましょう。カフェインが含まれない飲み物は、麦茶、黒豆茶、ハーブティー、ルイボスティーなど。コーヒーを飲みたい人は、ノンカフェインコーヒーを選ぶとよいでしょう。
このような飲み物は月経痛を和らげる効果を期待できますが、摂りすぎてしまうと、かえって体調を崩すこともあります。適量を心がけましょう。
月経痛の緩和は1日にしてならず。しかし、ちょっとした習慣で改善させることができます。毎日の食べ物や飲み物を見直して、自分好みの「子宮にやさしい食品」探しをしてみませんか?
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン