15年以上の実績、看護師の転職ならカンゴワークス

HOME > 看護師働き方研究所 > 看護師のいろいろなお仕事 > 看護師が夜勤専従で働くときに知っておきたいこと

看護師が夜勤専従で働くときに知っておきたいこと

投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2024年02月21日

看護師が夜勤専従で働くときに知っておきたいこと

 
執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師)

 
 

看護師の働き方のひとつとして「夜勤専従」があります。日勤をしないで夜勤だけのシフトで働くということですね。
 
夜勤専従という働き方に興味のある方もいると思いますが、基本はどのようなものなのでしょうか。この記事では夜勤専従のメリットやデメリット、ひと月あたりの夜勤回数や勤務時間の実態、夜勤専従で無理なく働くための体調管理法などをまとめました。

 
 

夜勤専従って?

 
看護師の働き方にはいろいろありますが、夜勤専従として働くことを「夜専(やせん)」と言ったりしますね。
 
夜勤専従の看護師には、たとえば、こんな人がいます。
 
 

  • 通常は日勤もあるが人手不足などを理由に一時的(1~2か月)に夜勤専従をしている
  •  

  • 転職のタイミングで常勤として夜勤専従をしている
  •  

  • 転職のタイミングで非常勤として夜勤専従をしている
  •  

  • 育休から復帰して非常勤として夜勤専従をしている
  •  

  • 定年退職後に非常勤になり夜勤専従をしている
  •  

  • 非常勤として夜勤専従のスポット勤務をしている

 
 

夜勤専従は2交替か3交替か?

 
ひと言で夜勤といっても、その施設や病棟の勤務形態が「3交替」「2交替」「2交替と3交替の混合」のどれなのかによって、勤務のリズムが異なってきます。
 
ちなみに、日本医療労働組合連合会(日本医労連)『2022年度 夜勤実態調査』によると、病棟における夜勤専門看護師の割合は、「3交替」で働く夜勤専従者が9.0%、「2交替16時間未満」が19.4%、「2交替16時間以上」が17.4%、「混合」が19.8%となっていて、全体では「2交替」が多いようです。
 
勤務時間が短くなる「3交替」を取り入れる施設が増えてきているという報告はありますが、人手に余裕がない施設もあります。
 
人手を増やして3交替にすることができない施設においては、2交替の夜勤を担ってくれる看護師に頼らざるを得ないのが現状のようです。
 
『2022年度 夜勤実態調査』でも、「夜勤専門看護師に頼らないと、夜勤体制の維持・管理ができない状況」と推察されています。
 
病院にとって夜勤専従をしてくれる看護師がいるのは、ありがたいことなのかもしれませんね。
 
 

看護師が夜勤専従で働くことにメリットはあるの?

 
こうしてありがたがられる反面、「夜勤ばっかりの勤務ってつらくないの?」と思われることもあるかもしれません。
 
しかし実際のところ、夜勤専従を積極的に買って出る人は少なくはありません。
 
そのような人は次のようなメリットを感じているようです。
 
 

  • 生活のリズムが一定になるので、身体がラク
  •  

  • 2交替だと明けの日と翌日の休みがあるので、疲れがたまらない
  •  

  • 入院、処置、検査など、煩雑になりがちな日勤業務の負担がない
  •  

  • 日勤での看護師同士や医師との関係がないことがよい
  •  

  • 夜勤だけの方が効率よく稼げる

 
 

看護師が夜勤専従で働くデメリットは?

 
もちろん夜勤専従にはメリットだけがあるわけではありません。
 
次のようなデメリットも挙げられています。
 
 

  • 2交替では勤務時間が長くなるために、疲労度が高くなる可能性がある
  •  

  • 勤務人数が少ないために、看護師一人ひとりの判断や看護スキルが求められ、夜勤経験が浅いと対応が難しい
  •  

  • 日中に起こっていることを十分に情報収集したり、少しの情報でも患者の状況を把握したりして対応できるスキルが必要

 
 

夜勤専従で無理なく働けるの? 勤務時間や回数は?

 
何といっても夜勤専従の場合、「夜勤だけの勤務で無理なく続けられるのか?」というのは重要なポイントでしょう。
 
昨今、夜勤については心身におよぼす影響が大きいことが問題視されています。
  

たとえば、夜勤の勤務時間、夜勤明けから次の勤務開始までの間隔、勤務回数などです。
 
 

勤務時間

 
とりわけ2交替では長時間の勤務になることが多いものです。
 
具体的な勤務時間帯でいえば、16:30~翌朝9:00までといった16時間以上の夜勤と、20:00~8:00といった16時間未満の夜勤があります。
 
実態調査によると、2交替制を採用している病棟の4割以上が、「16時間以上」の長時間夜勤になっています。
 
 

夜勤明けから次の勤務時間までの間隔

 
看護協会によるガイドラインでは、勤務と勤務の間隔を連続12時間以上あけることを基準としています。
 
よくない例としては、たとえば3交替で「深夜勤 → 準夜勤」や、2交替で「夜勤・夜勤明け → 夜勤・夜勤明け」、2交替と3交替の混合で、「夜勤・夜勤明け → 準夜勤」といったシフトの組み方です。
 
こうなると、勤務と次の勤務までの時間が短くなってしまいます。
 
しかしながら、前述の『2022年度 夜勤実態調査』では、勤務と勤務の間隔は最短で「8時間未満」というところが約4割だということが分かっています。
 
余裕をもったシフトを組むのがいかに難しい状況なのかが推測できます。
 
実際に、2交替の夜勤専従をしている看護師さんで「夜勤・夜勤明け → 休み → 夜勤・夜勤明け」ではなく、「夜勤・夜勤明け → 夜勤・夜勤明け」の勤務をこなしている人はいます。

 
 

勤務日数(回数)

 
『2022年度 夜勤実態調査』によれば看護師全体の夜勤について、夜勤の最多回数は3交替で22回、2交替で20回でした。

 
これは夜勤専従の看護師のものと思われます。
 
夜勤専従の看護師が月に平均何回の夜勤をしているかというのはこの調査では分かっていません。
 
ちなみに看護師全体では、3交替で夜勤が月に8日以内であるという人が71.5%と約7割、次いで9日が16.9%で、13日以上夜勤があるという人も1.0%います。
 
これに対して、2交替では4回以内の夜勤がある人が61.8%と約6割、4.5~5回が25.9%、多いと6.5回以上夜勤がある人が4.6%います。
 
数日間だけのスポットで勤務に入る夜勤専従者もいるので一概に言うことはできませんが、夜勤専従の看護師は、看護師全体の平均夜勤回数よりも多く夜勤をこなしていることが予想されます。

 
 

夜勤専従の看護師が知っておきたいこと(法律や業界の動向)

 

仮眠について

 
夜勤中の過ごし方として、「仮眠はとれるか?」という点は気になるポイントです。
 
労働基準法では休憩時間の確保について定めがあります。
 
8時間以上の勤務をするときには1時間以上の休憩が必要となります。
 
また、休憩の時間は職務から解放されている時間です。
 
ということで、1時間の休憩のうちに仮眠をすることが法律上は可能なはず。
 
しかし、休憩中もナースコールがあれば対応する必要があったり、PHSを持たなくてはいけなかったり、そもそも一人夜勤の場合もあります。
 
一人夜勤でナースコールも電話(内線も外線)も遮断できない状況にあっては、休憩時間も本当の休憩とは言えなくなってしまうというのが実情でしょう。
 
夜勤中には、連続して2時間以上の仮眠をとることが望ましいとされています。
 
できるだけ休息を取るためには、たとえば、夜勤をしている他の看護師とお互いに休憩時間を自由に使えるように協力したり、施設内での業務改善をしたりすることなどが必要になってきます。
 
 

夜勤の就業時間数について

 
夜勤の勤務回数が多いことや勤務時間が長いことは、従事する看護師にとって大きな負担になることです。
 
夜間の長時間労働ですので、法律との関係も気になるところですね。
 
労働基準法による法定労働時間は一日8時間ですが、2交替の夜勤のように勤務時間が8時間以上に設定されている場合は「変形労働時間制」が適用されます。
 
こうした場合には「変形労働時間制」を必ず適用し、施設側が就業規則に明記したり、労使協定を締結した上で労働基準監督署に届け出る必要があります。
 
1か月など一定期間の中で平均して、一週間あたりの所定労働時間が40時間を超えないようにすることになっていますが、一日や一週間の中で「何回まで」「何時間まで」といった規制は特にありません。
 
そのため、過重労働による心身の健康への影響が懸念されます。
 
そこで、日本看護協会は「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインを」示し、夜勤専従者ほど負担の軽減が必要であり、夜勤の時間や回数を少なくすることが必要という考えを明らかにしています。
 
そこでは、夜勤専従勤務者の所定労働時間を1か月あたり144時間以内にすることが提案されています。
 
 

夜勤専従で働く看護師の健康管理とは

 
夜勤専従をしている人には、「体力には自信あり!」という人が多いように思います。
 
そんな人でも、さすがに夜勤が続くと疲れをのぞかせることは少なくありません。
 
夜勤は安全衛生法でも「有害業務」に位置づけられています。
 
というのも、注意力が低くなって事故の発生率を高めるからです。
 
夜間の業務は、お酒を飲んだ状態よりも作業能率が下がるとも言われています。
 
確かに、夜勤が続いていてカフェイン入り飲料などで疲労をごまかしている人もいますし、いつも何となくピリピリしている人さえいます。
 
さらに、中長期的に夜勤をすることが、生活習慣病や発がん性に影響することまで指摘されています。
 
それだけに、夜勤専従で働く看護師は特に健康管理を十分にしたいものです。たとえば、以下のようなことを実践しましょう。
 
 

  • 疲れをためないように質のよい睡眠を心がける
  •  

  • 寝だめは睡眠の質を悪くして効果的でないとされているので、夜勤明けは帰宅後すぐに仮眠をしてからでもよいので、体内リズムを整えるためにも活動をする
  •  

  • 翌日が休日でも、夜勤明けの日は早めに就寝し、なるべく午前中から活動できるようにする
  •  

  • 夜勤中でも食事を抜かず、バランスよく食べることを心がける
  •  

  • 夜勤中は他の夜勤者と協力して食事休憩が遅くならないようにし、仮眠時間を確保し定時で帰れるような工夫をする
  •  

  • 帰宅後は家族や友人などと一緒に過ごしたり、趣味や適度な運動の時間をとって、仕事のプレッシャーやストレスから自分を解放するように努める
  •  

  • 勤務回数について自分の限界を知り、上司や同僚と、心身の健康面について職場と相談できる関係性を作る

 
 
また、日本看護協会のガイドラインでは、夜勤・交代制勤務者は6カ月に1回、「特定業務従事者健診」を受けたりする必要があるとしています。
 
夜勤のように22時~翌朝5時に業務を行うことは労働安全衛生法の「特定業務」にあたります。
 
使用者(病院や施設など)に対して、特定業務に従事する労働者(看護師)に「特定業務従事者健診」を受信させることが義務づけられています。

 
 

夜勤専従を考えるときの心得

 

公益財団法人 日本看護協会の『看護者の倫理綱領』では、看護職者の健康について、次のようなことが奨励されています。
 

「看護職がより質の高い看護を提供するためには、自らのウェルビーイングをまもることが不可欠である。看護職が健康で幸福であることが、よりよい看護の提供へとつながり、対象となる人々の健康と幸福にも良好な結果をもたらす。看護職は、自身のウェルビーイングの向上のために、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をとることやメンタルヘルスケアに努める。」

 
 
看護職者が自らの健康管理に努めることが大事だということと、それは何より、看護者の看護能力を維持し、質の高い看護を提供するためだということが謳われています。
 
このことは日勤であるか夜勤であるかを問わず、看護職全般に求められていることです。
 
特に夜勤専従者の場合、「何のために・誰のために働くのか」ということが、より多くの賃金を得たいなど自分本位のものに傾きがちな面があります。
 
それだけに、患者さんのことを第一に考えて献身的にイキイキと働くということと、夜勤専従をすることの実際的なメリットとのバランスを考えつづけていく必要はあるのではないでしょうか。

 
 

もしも他の職場が気になるなら。
無料の会員登録はコチラから

夜勤専従:まとめ

 

  • 夜勤専従には、常勤や非常勤、非常勤でもスポット勤務などの働き方がある
  •  

  • その施設のシフトが2交替か3交替か、2交替と3交替の混合かによって夜勤専従の働くリズムも変わってくる
  •  

  • 3交替制を取り入れている施設も増えている一方、夜勤専従者が働いているのは2交替制のところが多く、人手に余裕がない施設でのニーズが高いことがうかがえる
  •  

  • 夜勤専従で働くメリットは、働き方や業務内容の面で負担が少なく、効率的に稼げること
  •  

  • 夜勤専従で働くデメリットは、長時間であることや、勤務人数が少ないことで高いスキルが求められること
  •  

  • 勤務時間は2交替で16時間以上の場合もあ多い
  •  

  • 勤務と勤務の間隔は12時間以上空けるとされているが、実際には看護師の半数が8時間以内の勤務間隔で働いている
  •  

  • 夜勤専従の平均勤務日数は明らかになっていないが、2交替では最多で20回、3交替では最多で22回という調査結果がある
  •  

  • 仮眠については1時間の休憩時間内にとることが可能だが、状況によって仮眠の量や質を確保できないことも多い
  •  

  • 夜勤中の仮眠は、連続2時間以上とることが望ましいとされている
  •  

  • 2交替の夜勤のように8時間を超える労働については、変形労働時間制が適用される
  •  

  • 変形労働時間制では、特定の一日や一週間における勤務時間の上限は決まっていない
  •  

  • 夜勤専従者は、質のよい睡眠や食事、休息を意識して、健康管理を十分に行う
  •  

  • 夜勤で働き始める場合は定期的に「特定業務従事者健診」を受けることが必要
  •  

  • 質のよい看護をするためにも、誰のために働くのかということを常に考えて、バランスを取ることが必要

 
 
【参考】
日本医療労働組合連合会(日本医労連)『2022年度 夜勤実態調査』
公益社団法人日本看護協会『看護職の夜勤・交替制勤務 に関する ガイドライン』
公益財団法人日本看護協会『看護者の倫理綱領』
 
こちらの記事もぜひご覧ください。
看護師の夜勤はどういう勤務形態? 何が大変?対策は? 
 

<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社Mocosuku社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通

 

この記事をシェアしよう

看護師求人・施設を検索する

病院・施設名で探す

あなたの転職を後押しする
カンゴワークス・パートナーを
無料で利用しましょう

看護師求人の特徴

  1. 看護師を必要としている施設は日本全国で38万以上あります。
  2. 求人に関わる情報の多くは非公開です。

看護師転職のポイント

あなた一人の力で数多くの病院・施設を調べ、非公開情報を入手し、自分にあった職場を見つけるということは難しいと思いませんか?さらに、希望する病院・施設と給与や勤務条件などまで調べるとなると…。
そこで、多数の病院・施設の情報を持ち、色んなアドバイスがもらえるカンゴワークスパートナーサービス(無料会員サービス)を上手に活用することをオススメします。

カンゴワークスパートナーサービス(無料)がお役に立つ理由

  1. カンゴワークスと提携する各パートナーが、あなたの転職を後押し。さまざまな転職ニーズに対応可能。
  2. 15年以上の運営を通し、求人情報は豊富に蓄積
  3. 転職理由解決割合 93.8%
  4. 希望給与額に対する転職後給与 110.6%
  5. 希望通勤時間に対する転職後通勤時間 12.6%減

カンゴワークス 2015年1月〜2018年4月末までの転職成功者のデータから

医療・介護グループ特集