【2024年版】助産師の年収はどれくらい? 平均給与や他の医療職との比較
投稿日: 2019年12月03日
最終更新日: 2024年02月20日
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社Mocousuku
助産師として就職を検討するとき、お給料や年収は最も気になる要素のひとつだと思います。
そこで今回は、助産師の給料や年収について、データを参考にしながらご紹介します。
看護師など、他の医療職とも比較します。
このページの目次
助産師の平均給与
まずは、助産師の賃金について、公益財団法人日本看護協会が実施した「2021年 看護職員実態調査」を見てみます。
同調査によると、助産師(正職員・フルタイム)の税込給与総額の平均は 38万4,547円でした。
年代別では、20代は 30万5,896円、30代は 35万9,164円、40代は 40万2,390円、50代は43万9,285円、60代以上は 42万1,140円となっています。
年齢が上がるにつれ経験を重ね、また、管理職への登用などによって給与も上昇するようです。
一方、国立の機関で働く助産師は国家公務員という立場になるため、給与は「医療職俸給表(三)」に基づいて決定します。
この俸給表は職務内容に合わせて等級分けされており、非管理職の看護師や保健師、助産師は2級に該当します。
2級の場合、給与月額は18万500円~34万2,000円で、給与は経験や勤続年数などにより計算されます(参考)。
管理職になると等級も上がり、それに応じて給与もアップする仕組みになっています。
この賃金表は国家公務員を対象としていますが、4分の1ほどの病院が本表を参考に給与計算をしているといわれています。
また、各自治体でも同じような俸給表を作成しており、都道府県や市町村の機関で働く助産師たちは、それに基づいて給与が支給されていることになります。
注:各金額は小数点以下を四捨五入
助産師の年収はどれくらい?
さて、ここまでは、調査結果をもとに助産師のひと月あたりの平均給与についてご紹介してきましたが、年収にはこの他に賞与なども含まれます。
また、働く医療機関や企業、施設ごとにさまざまな手当が加算される場合もあります。
これらを加味すると、助産師の平均年収は推定500~600万円ほどになります。
ただし、これはあくまで平均、推測の値です。
実際には、医療機関の規模や方針、雇用形態、夜勤の有無、役職などによって大きく異なります。
さらに、最近では助産師の活躍する分野が広がり、医療機関以外の場所で働く助産師も増えています。
助産所や教育機関、民間企業など、働くフィールドでも年収は変わってきます。
助産師の年収:他の看護職・医療職との違い
次に視点を変えて、他の看護職との平均月収(フルタイムの正職員、手当など含む)を比較してみます。
・看護師:35万1,600円
・准看護師:29万6,200円
・保健師:33万3,800円
このように、助産師の給与は他の看護職よりも高いことが分かります。
看護師の平均年収は、厚生労働省の統計をベースに、およそ470~480万円と算出しているデータも見受けられます。
そうすると、助産師の年収は看護師よりも数十万円ほど高いことになります。
こうした年収の差は、助産師の免許は看護師の免許取得が前提であることや、看護師に比べて人数が少ないこと、需要も高いことなどが、要因になっていると考えられます。
助産師の年収は仕事に見合っているの?
助産師の給与や年収について、他の医療職とも比較しながらご説明しました。
ご覧になった皆さんは、助産師の年収を高いと感じましたか?
それとも、低いと感じましたか?
実は、助産師に限ったことではありませんが、看護職を対象にした調査から、賃金に不満を持つ人が多いということが分かっています。
その理由は人によって千差万別でしょう。
たとえば、夜勤などによる身体的な負担の大きさが一因かもしれません。
また、助産師は看護師とは違い、日本では女性に限られている職業です。
そのため、自身の妊娠や出産を機に退職する人も多く、慢性的に人手不足の状態です。
つまり、担い手が少ない分、1人あたりの業務量もかなり多いことが推測できます。
さらに見方を変えると、助産師は生命の誕生に携わる仕事であり、大変やりがいがある反面、非常に大きな責任やプレッシャーがともないます。
こうした身体的、精神的な負担を考えると、助産師の年収は決して高くはない、と筆者は考えます。
年収は、仕事や職場を選ぶ上で重要なポイントになります。
今回は平均的な給与をご紹介しましたが、先述のとおり、実際には勤務先によって大きく変わります。
また、昇給の仕組みもそれぞれです。
就職や転職を検討する際は、事前のリサーチをしっかり行いましょう。
助産師の収入は?平均給与・年収・他の医療職との比較:まとめ
- 「看護職員実態調査」によると、助産師の平均給与は40万円前後で、経験や管理職登用などにより給与も上がる
- 国立の医療機関で働く助産師は国家公務員という立場になるため、給与は「医療職俸給表(三)」に基づいて計算される
- 4分の1ほどの病院が、「医療職俸給表(三)」をもとに賃金表を作成している
- 助産師の平均年収は500~600万円ほどだが、医療機関の規模や方針、夜勤の有無、役職によって異なるほか、助産所、教育機関など働くフィールドによっても変わってくる
- 他の看護職と比べると、助産師の年収は高い
- これまでの調査によると、賃金に不満を持つ看護職の多いことが示されている
- 夜勤などによる身体的負担、慢性的な人手不足による業務量の多さ、精神的なプレッシャーなどを勘案すると、助産師の年収は決して高くないといえる
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 Mocosuku
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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