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看護師を辞めたい理由とは?

投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2023年11月27日

看護師を辞めたい理由とは?

 

執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師)
 
 

多くの子どもが憧れる職業になっている看護師。
 
しかし、せっかく看護師になったものの現実は厳しく、「看護師を辞めたい」と考える人は多いようです。
 
ここでは、看護師を辞めたい理由や、辞めたいと考え始めたときの対処について、経験例なども挙げながらまとめてみようと思います。
 
 
辞めたくなるような厳しい現実だったとしても、必ずしも辞めることがベストな選択ではないかもしれません。
 
そんな答えが見つかる可能性があります。ぜひ参考にしてくみてください。

 
 

なぜ看護師を辞めた? 実際に退職した人たちの理由

 
「看護師を辞めたい」と思ったとき、その思いを貫いて行動してよいものか、それとも留まるべきなのかと迷うことはよくあるでしょう。
 
そんなとき参考になることの一つに「看護職として勤務した職場を退職したことがある」という先輩たちの意見です。
 
どうして先輩たちは退職に踏み切ったのでしょうか。
 
厚生労働省で公開されている「看護職員就業状況等実態調査」によると、たとえば以下のような理由が挙げられています。
 
 

  • 出産、育児のため
  •  

  • 結婚のため
  •  

  • 他施設への興味
  •  

  • 人間関係がよくないから
  •  

  • 超過勤務が多いため
  •  

  • 休暇がとれない、とりづらい
  •  

  • 夜勤の負担が大きいため
  •  

  • 責任の重さ、医療事故への不安があるため
  •  

  • 通勤が困難なため
  •  

  • 本人の健康問題
  •  

  • 家族の健康問題、介護のため

 

この調査では3つまで回答が選べるのですが、理由のうち最も多かったのは「出産・育児のため」で、次に「その他」「結婚のため」が多く選ばれていました。
 
「その他」が2番目に多いという結果でしたが、その詳細についてはこの調査では分かっていません。
 
もしかしたら、看護師を辞めたいと思う理由はアンケート調査の選択肢には当てはめることができないほど、多様で複雑なのかもしれません。
 
 

仕事を辞めたい看護師が続出、その理由とは

 
「看護師を辞めたい」という思いを抱きながらも勤務を続けるのは、なかなかつらいものがあると思います。
 
ところが、「辞めたい」と思いながらなおも留まって働き続けている看護師は珍しくはないようです。
 
看護師として現役で働いている人を対象とした「看護職員の労働実態調査」で驚くべき数字が明らかになっています。
 
調査によって回答の得られた全国の3万3千人あまりの看護職者のうち、およそ7割が仕事を辞めたいと思いながら働いているということが分かりました。
 
また、調査で回答された辞めたい理由(選択3つまで)は多い順に次のような理由でした。
 
 

  • 人手不足で仕事がきつい(47.7%)
  •  

  • 賃金が安い(36.6%)
  •  

  • 思うように休暇が取れない(33.7%)
  •  

  • 夜勤がつらい(27.9%)
  •  

  • 思うような看護ができず仕事の達成感がない(26.0%)

 

今これをお読みのあなたも、同じように感じている人かもしれません。
 
肉体的にも精神的にもハードな業務が続いて、少しでもいいから休みたいと思っても、おちおち寝ていられないということも多いですよね。
 
あるいは、こんなに昼も夜も働いているのに、その仕事量に見合うだけの報酬がもらえていないと感じることもあるのではないでしょうか。
 
またこの頃では、医学や検査技術が飛躍的に発展し、どんどん新しい情報やスキルを身につけなければならないといった大変さも増えています。

 
 

看護師が辞めたくなるような職場事情

 
以上に見てきたように、看護師としてのキャリアが続くかどうかは、結婚や出産といったライフステージの変化が仕事との両立を許さなかったり、労働環境が大変ハードであることが影響していることが見えてきました。
 
では、辞めたくなるような職場事情には、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
 
実際の経験も踏まえて例を挙げてみましょう。

 
 

  • 急性期の病棟では入退院が激しいために患者との関わりが希薄。きちんと看護をしようと思うと業務が回らずに周りにも迷惑をかけるジレンマが絶えない
  •  

  • 新人だと思っていた数年が過ぎると、病棟会議、委員会活動、看護学生への指導、後輩のフォローなど、その日の業務が終わってからの仕事が一気に増えた。とくに単身者に多くの役割が割り振られていて断れない
  •  

  • 自分や家族の急な病気でも、勤務を交代できる人がいないために無理をしてでも出勤せざるを得ない。そのため、家族との人間関係がギスギスしてしまっている
  •  

  • 体調がよいと思える日の方が少なく、常に疲れが抜けない。休みの日も、次の勤務のことを思うと出かける気になれずに家にこもりがちになる
  •  

  • 2交代のため、夜勤の拘束時間が長いことが体力的にも精神的にもつらい。夜間も入院が相次いで休憩や仮眠がとれない日も珍しくはなく、インシデントを起こしてしまうのではないかと不安がつのる
  •  

  • 医師の指示をもらう必要があるため関わらないわけにもいかないが、患者の状態を報告した際の医師の威圧的な態度に耐えられない

 
いかがでしたでしょうか。
 
似たような経験を持っている方もいるかもしれません。
 
こうした過酷な労働状況が慢性化していると、余裕もなくなり、どんどん負のスパイラルにはまっていってしまいがちです。
 
このように心身のストレスが非常に高い職場であれば、辞めたいと思ってしまっても不思議ではないのかもしれません。

 
 

看護師を辞めたい… そのとき相談は誰にする?

 
では、看護師を辞めたいと思ったとき、どのように対応していくべきでしょうか。
 
現実には多くの場合、辞めたいという気持ちを持ちながらも勤務は続けなくてはなりません。
 
患者さんを受け持っていたり、さまざまな責任を負っているからです。
 
だからといって、辞めたいという気持ちが芽生えてからその意志がはっきりするまで、全く誰にも相談せずに過ごすのはとてもつらいことでしょう。
 
ですから、辞めたいと思い始めたら、自分ひとりで抱え込まずに誰かに相談をすることをお勧めします。
 
ちなみに、看護師の定着や再就業支援のための課題を明らかにするための調査(「看護職員就業状況等実態調査」)では、看護師が就業のことなどについてこれまで誰に相談したことがあるかを調べています。
 
主な相談相手は多い順に以下のとおりです。
 
 

  • 職場の上司(43.4%)
  •  

  • 職場の同僚(17.2%)
  •  

  • 親族(11.6%)


 
やはり職場の内情が分かっている上司や同僚に相談する人が多いのですね。
 
たとえば、同僚には相談をしたり愚痴を聞いてもらうこともあるかと思いますし、具体的な進退や配属にかかわることなら、直接に上司に相談するケースも多いのかもしれません。
 
他職種と比べると、それだけ大変な職場だということを示唆しているデータとも見ることができます。
 
そのほか、少数派ですが以下のようなケースもあります。
 
 

  • 相談したことはない(7.9%)
  •  

  • 外部の相談機関(0.7%)


 
 

どのタイミングで相談するべき? 上司に相談したときの展開を予測してみよう

 

誰に相談するのかということと併せて、「どの時点で相談するべきなのか」ということも、辞めたいと思っている看護師にとっては悩みどころではないでしょうか。
 
できれば早いうちに誰かに相談したいものですね。
 
とはいえ、自分の悩みを打ち明けることで肩身が狭くなり、ますます働きづらくなるという事態は避けたいものです。
 
そこで、先ほどの調査の報告で多かった職場の上司へ相談をする場合、どのような展開になるのかを予測してみましょう。
 
相談のタイミングや状況によって考えられる展開のパターンには、たとえば以下のようなものがあります。
 
 

  • 妊娠中のトラブル(悪阻や切迫早産)や病気、家族の健康問題などの起こったタイミングによって、上司が急な退職を認めざるを得ないパターン
  •  

  • 健康問題を理由に辞めたいと言った場合、休職を提案されるパターン
  •  

  • 辞めたい理由が職場内の人間関係にあり、職場上司もそのひどさを認識していて退職も認めざるを得ないパターン
  •  

  • 辞めたい理由が職場内の人間関係や勤務形態にあり、退職ではなく異動での解決を提案されるパターン
  •  

  • 人手不足などがあり、辞めたい看護師と辞めさせたくない職場上司との攻防が繰り返されていくパターン

 
 

なぜ看護師を辞めたい? まずは原因をしっかり認識しよう

 
相談したときの展開として、自分や職場の状況にあてはまりそうなパターンはありましたか?
 
辞めたい理由や相談時の職場の状況、相談後の展開はさまざまあるかと思います。
 
しかし結局最後は自分の決断や選択にかかってくるでしょう。
 
ただし、衝動的に辞めてしまっては、また次の職場で同じことになる可能性が高いです。
 
どうして看護師を辞めたいのか、しっかりと自分の気持ちや状況を整理してみましょう。
 
参考までに、実際にあった看護師の経験談を紹介します。
 
 

体調の改善がポイントだった例

 
職場の人間関係が悪く、日々ストレスを感じて何となく辞めたい気持ちがつのっていた。
 
眠れなくなって身体がつらくなり、患者として通院をしてみた。
  
すると、夜勤の負担からくる睡眠障害によって、さまざまな心身の不調を来していることが分かった。
 
そこで、上司と相談して休職し、数か月のあいだ通院しながら体調を整えて、夜勤のない部署へ異動して復職をした。
 
 

看護師としてのやりがいがポイントだった例

 
急性期の病院で働き始めて6年が経ち、病棟でもリーダーや看護学生の実習指導、委員会などを任されるような中堅スタッフとしてさまざまな役割を担うようになってきた。
 
単身のため夜勤も多く、残業の多いシフトがつらいと思うようになってきた。
 
漠然と「もっと条件のよい病院はないか」と求人を見てみたり、看護師を辞めて海外へ移住したいという夢を実行にうつすことを模索したりもした。
 
そんなときに、以前お世話になっていた上司に相談する機会があった。
 
すると、自分は患者と充分に関わりたいのに、そうできなていない現状が仕事へのやりがいを損ねていることに気づいた。
 

そこで現在の急性期の病院ではなく、訪問看護への転職も視野に情報収集をし始めている。
 
 

このように、なぜ看護師を辞めたいと思っているのか整理していくと、必ずしも「看護師を辞める」だけがベストな対応策ではないこともわかってきます。
 
 

職場の上司以外にも相談できる人は?

 
先に紹介した調査で、就業のことなどについてこれまで主に相談した相手として「職場の上司」が一番多いということが分かりましたが、この調査には続きがあります。
 
今後の就業について誰に相談したいかを訊いたところ、「職場の上司」(30.4%)が最も多いのは変わりませんでした。
 
一方、「外部の相談機関」(3.4%)を今後の相談先として選びたいという人が以前の調査よりも少し増えていました。
 
では、看護師が相談できる「外部の相談機関」とはどのようなところがあるのでしょうか。
 
以下に主なところを挙げておきましょう。
 

ナースのはたらく時間・相談窓口

(運営:公益社団法人日本看護協会)
 労働時間(勤務時間、有給休暇、休日、残業、夜勤など)についての相談を受け付けています。
 『ナースのはたらく時間・相談窓口』はコチラから
 
 

働く人の『こころの耳電話相談』

(運営:一般社団法人日本産業カウンセラー協会)
 メンタルヘルス不調のことや過重労働による健康障害のこと、ストレスチェック制度のことなどについて受け付けています。また、相談機関の所在についても情報提供をしています。
 働く人の『こころの耳電話相談』はコチラから ※0120-565-455 月曜日・火曜日・17:00~22:00/土曜日・日曜日10:00~16:00)
 
 

総合労働相談コーナー

(運営:厚生労働省)
 労働についてのワンストップ相談サービス。労働についての問題をさまざまな分野について相談を受け付けています。
  『総合労働相談コーナー』はコチラから

 
 
職場に相談できる人がいない場合や、職場で人間関係がある人以外に相談したほうがよいと思われる場合などには、こうした窓口に相談してみることをぜひおすすめします。

 
 

今すぐじゃなくても大丈夫。
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看護師を辞めたい理由とは?:まとめ

 

  • 「看護職員就業状況等実態調査」によると、退職経験者の退職理由は、「出産・育児のため」が最も多く、次に「その他」「結婚のため」であり、その他の詳細は分かっていない
  •  

  • 「看護職員の労働実態調査」では、3万3千人余りの看護師のうち7割が辞めたいと思っていて、理由は「人手不足で仕事がきつい」「賃金が安い」「思うように休暇が取れない」が上位
  •  

  • 実際の辞めたい理由は、職場環境などによって多種多様である
  •  

  • 「看護職員就業状況等実態調査」によると、就業のことなどについての主な相談先は「職場の上司」「職場の同僚」「親族」が上位
  •  

  • 辞めることを職場の上司へ相談したあとの展開としては、退職、休職、異動などがある
  •  

  • 看護師を辞めたいと思ったとき、気持ちや状況をしっかりと整理してみると「辞める」以外の対応策が見つかることもある
  •  

  • 上司への相談だけでなく、外部にもさまざまな相談機関がある

 
【参考】
厚生労働省『看護職員就業状況等実態調査結果』
医労連 医療労働『看護職員の労働実態調査「報告書」』
日本看護協会『はたらくナースの相談窓口』
日本看護協会『メンタルヘルスケア、組織での取り組み』

 
 
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通

 

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