15年以上の実績、看護師の転職ならカンゴワークス

HOME > 看護師働き方研究所 > 看護師のお悩みスッキリ解決部屋 > 「看護師の人間関係」に関するリスクと対処法

「看護師の人間関係」に関するリスクと対処法

投稿日: 2019年01月25日
最終更新日: 2023年11月27日

「看護師の人間関係」に関するリスクと対処法

 
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
患者さんやその家族、医師、上司や同僚、薬剤師や検査技師などさまざまなコメディカルスタッフ、事務方や出入りの業者など…。
 
看護師は、日々たくさんの人間関係のネットワークの中で仕事をしています。
 
それだけに、誤解や行き違いといった、さまざまなトラブルに見舞われるリスクも大きいと言えます。
 
現職で看護師を辞めたいと思っている人は7割いると言われ、その理由の上位に「人間関係」が挙げられています。
 
人間関係がストレスになっている可能性が高いと指摘されていますが、どのようなことがストレスになりやすいのか、またどうすれば回避できるのか考えてみましょう。
 
 

医師や上司、先輩との関係:指導やトレーニング

 
医療は高度な知識や技術を要する分野です。
 
国家資格を取得し、学校で多くの実習などをこなしてきたからといって、臨床現場ですぐに通用するわけではありません。
 
そこで、現場の医師や上司、先輩は「教える・指導する・鍛える」といった教師やコーチの役割を担います。
 
一方あなたは「教わる・指導される・鍛えられる」役割を担うわけですが、相手から見て指導しやすい存在になっているでしょうか?
 
 
多忙を極める医療の現場では、OJTなど臨床現場での実践的な指導が行われることも多くなります。
 
この指導に手間がかかると場合によっては患者さんに迷惑が掛かってしまいますので、指導する側がストレスでイライラしてしまう状況も考えられます。
 
相手(医師や上司)から見て教えやすいのは、言われている内容を素直に理解し、失敗してもきちんと反省して次に活かし、できれば「一を聞いて十を知る」というような姿勢で仕事に取り組む人物ではないでしょうか。
 
また、分からないときは「分からない」と表明し、「これはどのようにしたらよいでしょう」と尋ねるなど、率直に質問する、教えを乞う、といった意欲的な態度も大切です。
 
一日も早く即戦力になるために学びたい…という気持ちを示して取り組むことが、この段階の「教わり手」に期待される姿です。
 
それが感じられないと、指導する側としては教える熱意が低下したり、「可愛がらない」態度に出たりするかもしれません。
 
 

報告・連絡・相談や言葉遣い:ヒューマン・マナー

 
上司や先輩など、上下関係の中で仕事を行っていく場合、あいさつや返事、敬語、あるいは報告・連絡・相談といったコミュニケーションの作法も重要です。
 
こうしたマナーをわきまえているかどうかも、あなたの評価を左右する要素になってきます。
 
ですから、社会人の基礎力ともいえるマナー(ヒューマン・マナー)をしっかりと学び、実際に振る舞えるようにしましょう。
 
 

教える側に起こる感情的な接し方:ハラスメント

 
医師や上司も、患者の生命を救うために限られた時間の中で緊張して事に当たっています。
 
その緊張感から、イライラしたり怒ったりしている感情がつい表に出てしまうかもしれません。
 
そんな状況下であなたに指導をする場合、思ったように結果が出なくて感情的になって怒鳴ったり、皆の前で「さらし者」のようにしたり、口を利かなくなるなどの「無視」をしたり…といった行為に出ることも考えられます。
 
しかしながらこれは、パワーハラスメントです。
 
ハラスメントは明らかに行き過ぎた指導・トレーニングですから、こうしたケースでは相談窓口を利用する、リエゾンナースを介するなどして、対応を改めてもらうよう要請することが可能です。
 
ただし、なかにはまだハラスメントなどへの対処を制度として確立していない組織もあります。
 
 

同僚や他職種の人との関係:親睦や仲間づくり

 
仕事上をするうえで、同じチームの看護師はもとより、受け持ちの患者さんを担当する薬剤師や栄養士、介護士など他職種の人と協働して当たることが多くあります。
 
その場合、当然「気心」が知れているほうがチームワークはよくなりますので、一緒にお酒を飲んだり遊びに行ったりして交流し、親睦を深める機会も設けられるでしょう。
 
そうした場に一切参加しなかったり、別行動ばかりしていたりすると、「協調性がない人物」と見なされて孤立してしまうことがあります。
 
とりわけ介護施設や保健現場などは、スタッフのメンバーに看護者が少数なので顕著です。
 
病院で求められるのは、看護者や医療職同士の協調ですが、介護施設などでは他職種との協調が重んじられるのです。
 
言い換えると、同じカテゴリに属する者同士の親睦や協調だけではなく、違う業務を担っており価値観や生き方が異なる人たちとの協調性が求められます。
 
 
かつてと比べると、医療も「サービス業」という感覚で捉えるような側面も出てきました。
 
なかには「患者様」と呼んで航空会社のCAのような接客マナーで患者さんに接する、といった極端な例も見受けられます。
 
そこまでいかなくても、昨今のサービス志向では、仕事仲間や患者さんたちと和気あいあいとできずに、自分のやり方を通すような人は「適性に欠ける=向いていない」と評されることも多い傾向にあります。
 
しかしながら、人間嫌いや人間不信に陥っていることから他の人とのコミュニケーションが苦手で、できるだけ避けて通っているかもしれません。
 
また、精神的な疾患の傾向がある、慢性的なストレスを感じている…などの状況でも同様です。
 
人間関係の煩わしさから引きこもりがちになり、同僚や他職種の人、患者さんにまで冷たく当たってしまうようなことも起こります。
 
このように、協調性に関しては、もともとの気質や主義、体調面などさまざまな事情が考えられますが、改めて考えてほしいのは、信頼関係で結ばれている安心感ある場で医療が行なわれてこそ、患者さんの病も早く癒えて医療スタッフも効果的な医療を施せる、ということです。
 
そして、ここでいう安心と信頼に満ちた雰囲気は、何よりもスタッフ間の「和」によって構築されると言えるのではないでしょうか。
 
そのような「和」を作ろうと人間関係構築に努めているでしょうか?
 
あなたが協調することも周囲は期待しているのです。
 

違いを排除する「いじめ」

 
そうはいっても、やはりすぐには皆と協調できないタイプや性格の人はいるものです。
 
もともとの気質が「ひとりが好き」や職人気質、という人もいるでしょう。
 
あるいはプライベートで何かトラブルを抱えていて、ゆとりがなくなっているとか、ストレスや病気の影響という場合もあるでしょう。
 
一方、職場や組織の側も、集団の状態によって受け入れ方が変わってきます。
 
たとえば、ゆとりがあるときは協調性のない人でも寛容に包含し、全体として目的を達するといった人間関係のダイナミックスが作用します。
 
しかし、余裕がなくて職場の雰囲気や空気がギスギスしてくると、許容が狭くなり協調しない人を排除する動きも起こります。
 
「いじめ」や「いやがらせ」がそのひとつです。
 
誰かをいじめることによって、その集団全体が抱えているストレスが発散されるといった、不健全な事態も招きます。
 
ですから、今、自分の属している集団には寛容さやゆとりがあるのかどうか…の見極めが大切になります。
 
言うなれば、他の人と付き合ったり独りを楽しんだりするのは、「空気を読んで」「状況に合わせて」いくことが必要なのです。
 
 

患者さんとの関係:共感や理解

 
それでは、患者さんやその家族とのあいだには、どのような人間関係が期待されるでしょうか。
 
たとえば、「初めて病気になって辛い思いをしている」「病気になったら会社から冷たくあしらわれて惨めな気持ちになっている」「いちばん身近で支えてくれるべき家族が頼りにならない」など、患者さんはネガティブな状況かもしれません。
 
そうすると、病気そのものも病気になった自分自身についても、最も理解してほしいのは看護師…というケースは少なくありません。
 
もちろん、疾患や治療法は医師、薬のことは薬剤師など、部分的には他の医療スタッフとの意思疎通も必要です。
 
しかし、病気にかかっている自分自身を相対的に理解してほしいと頼るのは、やはり看護師に対してでしょう。
 
気軽に会話ができ、何でも訊ける身近な医療スタッフとして患者さんや家族と親しくなることは、ニーズをキャッチするという側面からも大切な役割です。
 
この親しさは、仲の良い同僚や友人との「お互いに何でも言い合える」ような類ではなく、「理解」や「共感」を示し、なおかつ適切なケアを提供してもらえるという、「一番の理解者」としての安心感や信頼感が土台となる親しさと言えます。
 
期待が大きい分、理解や共感を得られなかったときには失望や絶望に変質する可能性も考えられ、治療や回復に対する意欲の低下につながることもあります。
 
しかしながら、患者さんとの関係に一般的な正解はなく、いくら理解や共感が大切という認識を持っていても、そう簡単にうまくいかないことがストレスにもつながります。
 
 

気がつかなかったり誤解したりしていること

 
患者さんのために、一生懸命処置や業務をやっているにもかかわらず、「患者さんから怒られた」「患者さんの家族から素っ気ない態度をとられた」という経験もあるかもしれません。
 
こうした背景には、単純に患者さんが短気、家族が治療に熱心ではない…という事情も考えられますが、看護師が患者さんの「現在の状況や気持ち」を理解できていなかったから、という可能性もあります。
 
また、看護師側は受け持ちの患者さんが何人もいて、多くの情報を抱えて走り回っているのに対して、患者さん側は自分だけに尽くしてほしいと「甘えてくる」ように感じたことはありませんか。
 
このような状況のとき、患者さんには、気づいてもらえないことへの不満や誤解が生じてきます。
 
患者さんは、健常時とは違い、病気になると自分を理解してもらうことにどん欲になり、理解を示されない状況に対して敏感になる傾向があります。
 
そのような傾向まで考慮して患者さんの心理的ケアを求められる看護師は大変ですが、不満や誤解を防ぐためには、可能なかぎり患者さんをモニタリングして、気持ちや状態の変化を察したときに適切なフォローをすることが必要になるでしょう。
 
看護師の「看」は“(手をかざして)みる”という意味です。文字通り、患者さんを常に看続けていくことが期待されているのです。
 
そして、この「看る」は、検査機器だけではなく自分の目や耳といった感覚器官をフルに働かせてモニタリングをすることが重要です。
 
 

クレームや訴訟の問題

 
せっかく一生懸命に看護をしたものの、結果的に病気が治らなかった、かえって悪化した、あるいは死に至るようなケースも医療現場では日常的に起こります。
 
場合によっては、患者さん側が医療行為の結果やプロセスに納得ができずクレームになったり、訴訟に持ち込まれたりする事態も発生します。
 
クレームや訴訟などは個人で解決できる問題ではありませんから、これには病院や組織が対処する制度を構築していなければなりません。
 
いわゆる「危機管理」です。
 
ただし、いったん事故や事件が起こったときに弁護士などに委ねる制度が構築されていても、その前にトラブルへの発展を防ぐ予防策を講じておく必要があります。
 
それには、看護師はじめ医療スタッフと患者さんや家族との人間関係や、医療スタッフ同士の人間関係が要となってきます。
 
 

性の問題としての人間関係

 
病気や要介護になると、それまでの日常生活で表に出していなかった素の姿、あるいは身体的・精神的な「裸の自分」を他人である医療者に見せる、という経験が患者さんには伴います。
 
たとえば、社交的な場においては、自分のマイナス部分を隠して良く見せる方が洗練されていても、看護の場では患者さんも医療スタッフも互いに意思疎通を図り事実に直面しながら、生命の危機を克服する動機づけをします。
 
とくに現代の医療は、患者と医療スタッフが共に病気と闘う姿勢がよしとされていますので、「隠さない」ことが奨励されます。
 
患者さんは家族にも見せたことがない裸身をさらし手当や介助などを受けますから、そうしたやりとりを通じて看護師に対して性的欲求を抱く方向に発展するかもしれません。
 
また、そこまでの度合ではなくても、会話のなかにそうした要素が加わり「セクシャルハラスメント」に至るというのはよくあるケースです。
 
さらに、同じような理由により、医師など医療スタッフとの間にも、他の職種と比べると性的な関りが入り込む余地が多いと言えるかもしれません。
 
介護の場においても、多くの介護スタッフが利用者からのセクシャルハラスメントを経験しており、巻き込まれてしまうと対応が難しくなります。
 
この場合基本的な対処は、適度な距離をとって「かわして」いく方法になりますが、若い看護師などは嫌気がさして「看護師を辞めてしまいたい」と思うかもしれません。
 
看護師の仕事をストレスなく続けていくためには、このような状況のときに、先輩や上司に相談して守ってもらえるような関係性を日ごろから築いていることもとても大切です。
 
 

今すぐじゃなくても大丈夫。
新しい職場の情報はコチラから

看護師の人間関係:まとめ

 

  • 看護師が辞めたいと思う理由の上位に「人間関係」が挙がっている
  •  

  • 医師や先輩、上司との関係においては、意欲的に質問する、積極的に学ぶといった姿勢を示し、よい「教わり手」になる
  •  

  • 「報告・連絡・相談」や、あいさつ、返事、敬語などのヒューマン・マナーをわきまえる
  •  

  • 怒鳴られる、無視される、などのパワーハラスメントに遭ったときは、相談窓口やリエゾンナースを介して解決を図る
  •  

  • 同僚や他職種の人との親睦を深め、協調して業務に当たることで、医療の場に安心感と信頼感が生まれる
  •  

  • 職場や組織の状況によっては、周りと違う人を排除したり、いじめやいやがらせが起こったりする場合がある
  •  

  • 患者さんやその家族には、理解と共感をもって接することが大事である
  •  

  • 検査機器だけではなく五感を使って患者さんの状態を常にモニタリングすることで、「気づかなかった」「誤解をした」という事態を防ぐ
  •  

  • クレームや訴訟には対処する制度があるが、トラブルに発展させない予防策として、日ごろから医療スタッフ同士、患者さんやその家族との関係を良好に保つことが要になる
  •  

  • 医療現場ではセクシャルハラスメントが起こりやすいため、具体的な対処法を備え、先輩や上司に相談に乗ってもらえるような関係を築いておくこともコツになる

 
 
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

この記事をシェアしよう

看護師求人・施設を検索する

病院・施設名で探す

あなたの転職を後押しする
カンゴワークス・パートナーを
無料で利用しましょう

看護師求人の特徴

  1. 看護師を必要としている施設は日本全国で38万以上あります。
  2. 求人に関わる情報の多くは非公開です。

看護師転職のポイント

あなた一人の力で数多くの病院・施設を調べ、非公開情報を入手し、自分にあった職場を見つけるということは難しいと思いませんか?さらに、希望する病院・施設と給与や勤務条件などまで調べるとなると…。
そこで、多数の病院・施設の情報を持ち、色んなアドバイスがもらえるカンゴワークスパートナーサービス(無料会員サービス)を上手に活用することをオススメします。

カンゴワークスパートナーサービス(無料)がお役に立つ理由

  1. カンゴワークスと提携する各パートナーが、あなたの転職を後押し。さまざまな転職ニーズに対応可能。
  2. 15年以上の運営を通し、求人情報は豊富に蓄積
  3. 転職理由解決割合 93.8%
  4. 希望給与額に対する転職後給与 110.6%
  5. 希望通勤時間に対する転職後通勤時間 12.6%減

カンゴワークス 2015年1月〜2018年4月末までの転職成功者のデータから

医療・介護グループ特集