看護師の面接での心構え… マナーや伝え方、注意点など
投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2023年11月27日
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
求職活動に面接はつきものですね。
誰しも面接官の印象に残るような心に刺さる話をしたい…と思っています。
しかしながら、話の内容はもとより、つい見落としがちなビジネスマナーなども面接時には評価の対象となります。
ここでは面接の留意点について、さまざまな観点からご説明します。
面接前の準備
◆応募先(施設など)のリサーチ
先方の特徴、病院の経営理念や方針など、ホームページなどを活用して隅々まで読み込んで情報を入手しましょう。
質問している面接官の意図を理解し、理念や方針にそった受け答えが出来ると好印象につながります。
◆面接会場の場所の把握
面接が決まったら、開始時間や交通手段を考慮して、家を何時に出ればよいか余裕をもって予定を立てておきます。
特に、土地勘のない場所だと道に迷うことも考えられます。
所在地は正確に把握しておく方が賢明です。
◆面接時間の遵守
面接が始まる5分前には会場の前に控えていましょう。
遅刻はもってのほかですし、あまり早く着き過ぎてもいけません。
◆当日の持ち物
履歴書、職務経歴書、看護師資格証明書のコピー、筆記用具は必要になるでしょう。
何を持参すべきか事前によく確認しておきましょう。
履歴書には通常写真を貼っておきます。
また、履歴書と職務経歴書は封筒に入れて面接官に渡すのがマナーです。
自分用としてコピーを手元に取っておくと安心です。
◆当日の服装
面接時の第一印象はとても重要です。
身だしなみは十分に配慮してください。
看護師は清潔がモットーですから、当然、清潔感のあるなしは判断材料の一つになります。
基本的に服装はスーツがよいでしょう。
上品で清楚な印象のある、紺やグレー、ベージュなど落ち着いた色のスーツに、白いブラウスなどを合わせるのがお勧めです。
化粧はナチュラルメイクを心がけましょう。
ノーメイクでも厚化粧でもよくありません。
また、イヤリングやネックレスなどのアクセサリーは控え、派手なネイルも避けましょう。
◆ヘアスタイル
面接を機に事前に美容院へ行っておくのもよいですね。
前髪は眉にかからないようにして、長い髪は束ねておくと印象がアップします。
また、当日きちんと手入れすることはもとより、面接室に入る前にも最終チェック(乱れていないか、フケは落ちていないかなど)をしましょう。
ヘアカラーをしているときは、できるだけ黒に近い色がよいでしょう。
直接患者と接する職場では、派手な色でなくても染めていること自体に拒否感を示される場合があります。
好印象にするには、できるだけ黒にしておいたほうがよいかもしれません。
面接時のマナー
履歴書はたいてい事前に相手方に渡っていますが、最終的な合否は面接時の対応で決まります。
受け答えや話し方、立ち居振る舞いなども評価の対象です。
◆面接室へ入るとき
ドアは3回ノックして、返事が聞こえたら中に入り、ドアを閉めます。
勧められるまでは椅子に座りません。
自分の氏名を名乗り、ゆっくりお辞儀をします。
◆面接時の対応(言葉遣い)
会社の面接では、志望先を「御社(おんしゃ)」といいます。
病院では、「御院(おんいん)」と呼びましょう。
面接でよく聞かれる質問
面接では、なぜこの病院(会社など)に勤務したいと思ったのか、また、これまでの実務経験から得た看護観についてよく聞かれます。
あらかじめ面接の想定問答をして対策を立てておきましょう。
◆「なぜこの病院(会社など)を志望したのか」
最初に受ける質問はこの志望動機が多いと思います。
どんなところに魅力を感じて仕事をしてみたいと思ったのか、ホームページやパンフレットなどを熟読してポイントを押さえて話しましょう。
応募先の施設をよく理解し的確で説得力のある話ができると、面接官にはあなたの存在が印象に残ります。
また、魅力を感じたこと、これから挑戦してみたいことなどを率直に話すとより好印象です。
◆「前の病院・施設を退職した理由は」
前職を退職した理由はたいてい聞かれます。
すぐに辞めてしまう人…と思われないように、退職理由は丁寧に話すべき内容です。
家庭の事情、育児や介護などの問題が絡むときは、それらを正直に話し、現在はどのように改善されているのかも説明しましょう。
一方、職場での問題、人間関係のトラブルや待遇面(賃金、労働条件等)に対する不満などが理由の場合は注意が必要です。
本当のこととはいえ、あまり長々と説明しても決して良い印象は与えられません。
ここでの大切なポイントは、転職の事由が困難からの逃避ではなく、自分を見直す新たなチャンス、チャレンジとして話をすることです。
ポジティブな転職、という点を強調しましょう。
◆「あなたの経験に基づく看護観とは」
さらに面接官が聞きたいことは『看護師として仕事をしてきた経験に基づくあなたの看護観』です。
看護師になろうと思ったきっかけ、目指してきた看護師像、先輩看護師から学んだこと、失敗や挫折から得たこと、患者との関わりで大事にしていることなど、印象的なエピソードをまじえて話すとわかりやすいですね。
実体験をよりどころとした話からは、看護に対するあなたの情熱やポリシーを伝えることができます。
◆「習得した技術や実務経験は」
自分が所属した科で身に付いた技術や経験などを具体的に話します。
技術面だけでなく、チームリーダーやプリセプターなどの経験、学会発表なども含め、積極的に話をしたいところです。
◆「この病院(施設、会社など)で何をしたいと思っているのか」
今までこのような経験をしたので、ここではこんな目標がある、こんなことに挑戦したい!といったことが話せると、目的意識の高い人物という印象になります。
仮に未経験だとしても、このようなチャレンジ精神を持っている、という意思を表明することが大事です。
何となく就職したいというだけでは、その他大勢の一人になってしまいます。
この人を採用するとこんなメリットが生まれそうだと、面接官の期待感が募るように伝えましょう。
面接官からみて印象の良い質問・悪い質問
ほとんどの場合「何か質問がありますか?」と問われますから、質問は予め用意しておきましょう。
その際、印象の良い質問と悪い質問があることに注意してください。
◆良い印象
相手の話をよく聞いているからこそ発せられる質問は好印象です。
「さきほどこのようなお話がありましたが、その点をもう少し詳しく教えてください」など、その場で考えて的確な質問をすると、理解力が高い、探求心が深いなどと思われるでしょう。
とは言え、緊張してとっさに思いつかない場合を想定して、やはり質問は準備しておくものです。
◆悪い印象
労働条件についての質問は印象が悪くなる可能性があります。
特に給与や賞与、休暇などについては、事前に調べるか紹介会社などの担当者に問い合わせておき、不明点は解消しておきましょう。
労働条件にこだわって求職活動をしている人、と思われてしまいかねません。
経歴から懸念されること
◆転職回数が多い
転職回数の多さは、こと面接においては有利に働きません。
嫌になるとすぐ辞める人という印象が否めないからです。
転職が多い人は、それぞれの職場で経験し習得したスキルを丁寧に説明し、納得できる退職理由を用意しましょう。
そうすると、転職回数は多いが順応性が高く、対応力に期待できる人物と見なされる可能性があります。
◆育児をしながら働く
乳幼児の世話が伴う場合、職場側からみるとマイナス要素に受け取られる可能性は少なくありません。
ですから、支援してくれる人がいるなど、長期で働けるサポート体制が整っていることをしっかり伝えましょう。
◆未経験の分野である
未経験の分野に挑戦したい理由と、今までの経験がどのように活かせるか説明しましょう。
面接で落とす理由
自己PRが上手だから面接に受かる、というわけではありません。
一般に面接官が不採用とする点をご紹介します。
*とにかく自分を売りこもうとし過ぎる
*質問にきちんと答えず曖昧に終わらせようとする
*笑顔がなく印象が悪い
*服装などがその職場にマッチしていない
面接は、たいてい履歴書などの書類審査を通過してから行われます。
志望先をよく調べて自分の履歴と関連性を持たせるなど、今までの経験を振りかえり、さまざまな視点から面接で話す素材を用意しましょう。
そうした努力が、面接を勝ちとるカギになるはずです。
面接の留意点まとめ
- 面接を受ける前に志望先の情報をホームページでチェックする
- 面接会場までの所要時間は余裕をもって計算する
- 当日必要なもの:履歴書、職務経歴書、資格証明書コピー、筆記用具
- 当日の服装:落ち着いた色のスーツが無難
- 当日のメイク:ノーメイクも厚化粧もNG。ナチュラルメイクがベター
- アクセサリー類は控え、派手なネイルは避ける
- 面接会場に入るときは、ドアを3回ノック、返事が聞こえてから入室する
- よく聞かれる質問は志望動機
- ホームページやパンフレットを熟読しておく
- 志望先の魅力やチャレンジしたいことなどを織り交ぜて話すと好印象
- 前の職場を退職した理由は必ず聞かれる
- 退職理由は丁寧に説明する。家庭の事情などは隠さず話し、現在は改善されている状況も添える
- 自分にとってポジティブな転職であることを強調する
- 臨床経験で心に残っている患者のことなどを聞かれる
- 印象的なエピソードを話し、そこから自分の看護観などに展開させる
- 習得した技術や実務経験、リーダーやプリセプターなどの経験も伝える
- 志望先で何をしたいと思っているか、率直に話す
- 未経験の場合でも、挑戦したいという意思を表すのが大事
- 質問をすることも大事、面接の中で出た話から質問できると好印象
- 労働条件などについて質問するのは適切とは言えない
- 転職回数、育児中、未経験の職場などの懸念事項は丁寧に説明すること
- 笑顔がなく受け答えの印象が悪い人は不採用になりやすい
- 服装などが職場の雰囲気にマッチしていないと不採用になりやすい
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー