「昇進うつ」にならないためにできること
投稿日: 2024年03月28日
管理職になったばかりの人に多いといわれる抑うつ状態に「昇進うつ」があります。今回はこの「昇進うつ」について解説します。
「昇進うつ」とは
「昇進うつ」は医学用語ではありませんが、昇進をしたことをきっかけに発症するうつ病を指しています(職業性うつ病とも呼ばれます)。自分が頑張れば成果を挙げられた「担当」とは違って、管理職は「他人に仕事をさせる」役割ですから、思い通りにいかなかったり、一方で上司からはノルマを達成するようきつく迫られたり、人の上に立つ以上完璧でなくてはいけないと思い込んだり、上と下との板挟みになったりするなど、なかなか大変です。また、まじめで融通のきかない人ほど陥りやすいともいわれています。いわば、昇進に伴うプレッシャーやストレスに押しつぶされてしまうわけですね。こうしたプレッシャーやストレスを放置しておくと、次のような状態が起こってきます。
・慢性的な睡眠障害
・食欲不振
・集中力、思考力、判断力などの低下
・無力感や罪悪感
・憂うつな気分
・興味や関心の喪失
こうなってくると、抑うつ状態、あるいはうつ病と診断される場合も出てきます。
「昇進うつ」にならないために
昇進うつを予防するためにはならないように、次の点に留意しましょう。
完璧を目指さない
目標の達成は合格点を取ることで果たされます。上司や会社の期待が65点なら、65点取れればOKです。100点を取る必要はありません。
上司からコンサルテーションを受ける
管理職として何をしなければならないのかは、会社が何を期待するかにかかっています。この点を上司に確認し、併せて、経験者としての上司にコツを教わっておくこともいいでしょう。
独りで解決することを避ける
「部下に教える手間をかけるなら、いっそ自分がやった方が早い」と考える管理職も少なくありません。でも、管理職にはチームで成果を上げるリーダーシップが期待されています。少々時間がかかるようでも、チームを育ててやがては生産性が高くなるようなグループを目指してみましょう。
相談できる仲間をつくる
必ずしも自分の会社でなくもかまいません。管理職としての悩みを打ち明けられる仲間ができると、プレッシャーやストレスに対して向かっていけるモティベーションが高まります。いいかえると、楽にプレッシャーやストレスに向かっていけるようになるでしょう。
独りで頑張るのではなく、周りに相談したり協力を求めながらできるといいですね。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社Mocosuku社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン