産婦人科の看護師求人/病院・施設情報

産婦人科とは

産科では、産前産後の女性と生後７日未満の乳児を対象とする周産期医療に携わります。婦人科では、月経のトラブル、性と生殖、生殖器の病気など、思春期から老年期までの幅広い対象に携わります。

産婦人科の看護師の役割

患者は、妊娠・出産・育児、不妊、流産、人工妊娠中絶、がんによる生殖器摘出や生殖機能の喪失などを抱えています。ですから、女性の各ライフステージに寄り添う看護が求められます。また、産科では緊急入院や帝王切開、分娩時の大出血やショック、出生直後の新生児蘇生、母体や児の搬送など、緊急時の対応が求められます。一方、婦人科ではターミナルケアに携わる場合もあるでしょう。さらに、産科婦人科が一緒になっている施設では、分娩の傍ら見取りの看護をする、不妊治療中の方と妊娠している方への対応を同時にするなど、さまざまな患者が入り交ざる場面が想定されます。臨機応変かつ特別な配慮が必要という点も、産婦人科ならではの特徴です。

産婦人科の看護師の仕事内容

医療施設によって対象患者に幅がありますが、ここでは看護師の仕事を産科と婦人科に分けてみていきます。

＜産科に特徴的な仕事＞

○ 外来での妊婦健診

血圧測定、子宮底長測定、尿検査、採血、経腟エコーや腹部エコーの介助、膣培養検査の介助など

○ 病棟での異常妊娠の看護

胎児心拍モニタリング（NST）、ドップラー聴診、バイタル測定、投薬（内服、静脈注射）、安静妊婦への保健指導や保清介助、妊婦健診に関する業務（同上）

○ 分娩の立ち合い（助産行為以外のもの）

分娩監視装置の装着、陣痛中や破水時の保清介助、陣痛中の付き添いやトイレ介助、投薬（陣痛促進剤、破水時の抗生剤等）、分娩時の外回り、帝王切開の術前・術後看護、ベビーキャッチ*など

*助産師や医師が児をとりあげたあとに、児を引き取って羊水をぬぐい保温ケア、呼吸循環や全身の観察、早期母子接触の看護等を行う役割

○ 新生児の看護

新生児のバイタル測定、新生児の身体計測や全身観察、体重測定、経費ビリルビン濃度測定、体温管理、哺乳の介助、おむつ交換、沐浴など

○ 産褥の看護

悪露交換、分娩後の歩行介助、分娩後の排泄介助、バイタル測定、授乳の介助、沐浴指導、育児相談など

＜婦人科に特徴的な仕事＞

○ 問診

月経について（初経、最終月経、月経周期など）、妊娠・出産歴の確認など

○ 診察や検査の介助

内診台での内診、経腟エコー、膣培養検査、子宮鏡検査、細胞診、組織診など

○ 処置の介助

流産や人工妊娠中絶手術の術前・術後看護、不妊治療に関するもの（採卵、人工授精、肺移植など）

○ その他治療に関する看護

化学療法前後の看護、放射線治療前後の看護、腹腔鏡手術や開腹手術の術前・術後看護など

産婦人科の看護師の働き方：キャリア

産婦人科で働く場合、看護師キャリアには次のような展望が開けるでしょう。

○ 助産師を目指す

産婦人科で働きながら助産師を目指す人もいます。助産師免許取得に向けて、学校入学資金を貯めるのとあわせて助産師の仕事を身近に知ることができます。

○ 周産期救急・母体救急・新生児蘇生の講習と認定

緊急時に対応するための認定講習を受講してスキルアップを図れます。なかには産科は医療的処置が少ないため看護師として先のキャリアが心配という声もあります。しかし、産婦人科を経て、新生児集中治療室(NICU)や母体胎児集中治療室(MFICU)など、よりクリティカルな医療現場に進むことも可能です。

○ 産科や婦人科で活かせるスキル

婦人科がんでは子宮や卵巣と一緒にリンパ節郭清を行った場合に、術後のリンパ浮腫の悩みがあります。そのため、浮腫に対するセルフケア指導や看護者によるケアが必要です。リンパ浮腫療法士などの認定を受けてスキルを磨くこともできます。また、産科では陣痛緩和や産前産後の心身ケアのために、アロマやマタニティビクスやマタニティヨガの資格を活かす看護師もいます。

○ カウンセリングや保健指導スキルを磨く

カウンセリング技術や専門的な知識に基づいて患者と深く関わる場面も多くあります。また、産婦人科勤務を経て「不妊症看護認定看護師」「がん看護専門看護師」「がん化学療法看護認定看護師」「がん性疼痛看護認定看護師」などを目指す人もいるでしょう。

産婦人科の看護師の働き方：雇用形態・勤務形態

産婦人科での働き方について、勤務形態や雇用形態の面からみていきます。

○ 雇用形態

産婦人科では以下のような雇用形態が考えられます。

・常勤

・非常勤（日勤のみ、夜勤のみ、外来のみ）

○ 勤務形態

産婦人科では以下のような勤務形態が考えられます。

・日勤外来のみ

・日勤も夜勤も

・緊急帝王切開のためのオンコール

・遅番や準夜勤

産婦人科へ転職するときの留意事項

医療施設によって受け入れる対象患者や看護師の仕事内容は変わってきます。次のようなポイントをチェックしておきましょう。

・病院の産婦人科病棟なのか産婦人科クリニックなのか

・ハイリスク妊産婦を受け入れる施設かどうか

・分娩やオペ取り扱いの有無

・病床数

・分娩またはオペ件数

・不妊治療の有無

・どのような婦人科治療を得意としているか

・助産師の数

・土日診療の有無等

産科の診療を行っているが分娩を取り扱っていない、病院内で産科病棟と婦人科病棟が完全に分かれている、産婦人科の患者数が少ないため他の診療科の入院も受け入れる混合病棟の体制をとっている、などの場合も考えられますので、事前にしっかりと確認されることをおすすめします。

＜執筆者プロフィール＞

座波 朝香（ざは・あさか）

助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通

＜監修者プロフィール＞

株式会社 とらうべ

医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供