15年以上の実績、看護師の転職ならカンゴワークス

HOME > 看護師働き方研究所 > 看護師のお悩みスッキリ解決部屋 > 男性看護師はいじめられやすい? もしいじめを受けてしまったら

男性看護師はいじめられやすい? もしいじめを受けてしまったら

投稿日: 2019年01月30日
最終更新日: 2024年02月21日

男性看護師はいじめられやすい? もしいじめを受けてしまったら

 
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
日本看護協会の発表によると、2016年現在、男性看護職(就業者)の総数は107,470人となっています。
 
看護者全体の就業者数は約166万人ですから、男性看護師の割合はおよそ6.5%です。
 
ところで、男性看護師だからという理由でいじめられるようなことはあるのでしょうか?
 
また、いじめを受けたときはどのように対処すればよいのでしょうか。
 

 

男性看護師について

 
日本において看護師は、「保健師助産師看護師法」に基づく国家資格です。
 
男女雇用機会均等法の関係で2001年にこの法律が改定され、翌年、男女とも「看護師」という名称に統一されました。
 
それまで女性は「看護婦」、男性は「看護士」と呼ばれていましたが、現在は教育カリキュラムも同一のものを使用し、男女の別なく育成が行われています。
 
かつては、看護職というと「女性の仕事」というジェンダーイメージが強く、一方看護士は看護婦の規定を準用される「補助的」な立場や、精神科など特殊な看護分野で働く人といった位置づけだったようです。
 
このように、男性看護師は数的に少ないうえに、質的にも「看護職=女性の仕事」という強い職業イメージの影響から、マイノリティとみなされやすいことがうかがえます。
 
 

いじめられる原因は?

 
看護職に限らず、職場いじめと呼ばれる行為はどの職種でも起こり得る現象です。
 
たいていの場合いじめている側に「いじめている」意識はなく、むしろ、教えている・指導している・早く一人前にしたい・成長させたい…という気持ちでいることさえ多いようです。
 
こうした、「しつけ」と「いじめ」をどこで線引きしていくかは、多くの職場や組織で課題になっていますし、研修などを通して取り組んでいる途中というところもあります。
 
より詳しい現状については、厚生労働省の「あかるい職場応援団」などをご参照ください。
 
次に、「いじめ」という現象に発展する原因について考えてみます。
 
 
● 個人の側の問題
 
・新人などで立場が弱い
 
男性だけではなく女性看護師でも、抵抗できない弱い立場の人がいじめのターゲットになることがあります。
指導している最中にエスカレートした先輩や上司から、きつい言葉をなげかけられたり、侮辱されたりするような状況が起こります。
 
 
・会話が少ない
 
人間関係に消極的、性格が大人しいといった特性などによるケースです。
 
たとえば、コミュニケーションが苦手で自分の意思をはっきり言えない、相手から尋ねられてもきちんと返事ができないなど反応が希薄な人に対して、先輩や上司の方は「言ったことを理解していない」「ちゃんと応えていない」「こちらの意図を無視した」といった捉え方をします。
 
このようなやりとりが続いて不快感が募ると、いじめにエスカレートしていく傾向があります。
 
 
・仕事の覚えが悪い
 
一緒に仕事をする人からすれば、看護学校で学び、国家資格を取得した社会人として一人前と思っています。
 
しかし、実際は教えられたとおりに仕事ができず、仕事が遅くて他の人が残業をすることになる…などという場合は、周囲にイライラが溜まりいじめにつながる可能性が高いです。
 
 
● 職場の側の問題
 
・上司がワンマン
 
看護師長や主任が不公平なえこひいきをする、もしくは感情の激しいワンマンタイプだと、スタッフはストレスがたまり、人間関係もギスギスしてきます。
 
そのような職場はいじめが起こりやすい環境だといえます。
結果、上司への不満のはけ口として先輩が後輩をいじめる、といった構図になることもあり得ます。
 
 
・正当に評価されていない
 
努力をしても賞与や昇格に反映されず、正当に評価をされていないと感じて職場や仕事に対してやりがいを見失うことがあります。
 
そうした心理状態から、仕事よりも新人や弱いものいじめにエネルギーを注いで自分の優位さを誇示し、存在価値を見出そうとする人もいます。
 
このような職場では看護師の定着率は悪いでしょう。
 
 
・組織の体質が古い
 
たとえば、「男はこうあるべき」「女は黙っていろ」「先輩の云うことには絶対服従」「滅私奉公は当然」というような昔ながらの価値観が色濃く支配している職場だと、古い体質に染まらない新人や革新的な考え方の人は、排除されていじめの対象になる可能性があります。
 
また、かつては看護師といえば女性の職業というイメージが強かったため、「男だから」という理由で軽んじられることが、こうした職場では起こりやすいでしょう。
 
 

いじめを受けたときの対処法

 
それでは、お伝えしてきたような状況や境遇などにより、実際にいじめが起こったときはどのように対処したらよいのでしょうか。
 
● 個人としてでき得ること
 
・可愛がられる新人を目指す
 
新人は時間が経てばいずれはベテランになります。
最初は誰もが新人です。
 
できれば可愛がられる新人になることをおすすめします。
そのためには少し下地作りをする期間と努力が必要です。
 
新人でもできることを率先して行う、人より先に出勤する、相手の目をみて挨拶をするなど、礼儀に気をつけて気配り目配りを積み重ねましょう。
 
そして、取り組んでいる間は先輩や上司の評価に捉われず、「どう思われようと自分のなすべきことを貫く!」くらいの気概でことに当たりましょう。
 
 
・周囲と会話が生まれるように工夫する
 
自分からすすんで周囲の人と会話をするように心がけましょう。
 
スムーズに会話をするためには、プライベートの時間に「話題」集めをすることも大切です。
ニュースや雑誌、インターネットの情報などをチェックして、自分なりに考えをまとめておくとよいでしょう。
 
一般的に好まれる話題は、お天気やスポーツ関連などです。
政治に対する個人的見解や組織の悪口、個人の価値観に関わるような話題はタブーです。
 
また、相手がコミュニケーションを図ろうとしているとき、曖昧な返事や応答をしていると無責任だと思われます。
 
質問に対する答えがわからなければ、素直に「わかりません」と伝えましょう。
黙っていると、最悪の場合相手は「無視された」と受け取ってしまうかもしれません。
 
そして、最初の頃はとくに、飲み会などの場にも積極的に参加して、先輩方と親しくなろうとする方が好印象です。
もちろん、お酒が飲めなければ勧められても無理をして飲む必要はありません。
 
「私はお酒が飲めないのです。でも、この雰囲気と会話が楽しいので酔ってしまいそうです!」
これくらいのことが言えると座持ちもいいですし頼もしい限りです。
 
 
・復習で確実に仕事を覚える
 
仕事覚えの早い遅いには個人差があります。
人によってペースが違いますし、必ずしも早い方が良いとは限りません。
 
仮に早くても精度が低く、いちど教えたことをきちんと覚えていなければ、イライラしてしまう先輩看護師も多いからです。
 
慣れない業務を処理したときは、その日のうちに復習をしましょう。
そして、忘れないように何度も繰り返し学習して、自分のスキルとして確立することです。
 
できれば、復習は業務終了後に残るか、自宅に帰って寝る前にするなどの習慣をつけましょう。
新人で疲れている時期は大変だと思いますが、こうした取り組みも最初が肝心です。
 
日々の復習が身についてくると、ただ受け身的に教わるだけではなく自分から積極的に取り組む姿勢が養われますので、自然に疑問も湧いてきます。
 
そうなればもうけものです。
先輩や上司に自分から質問をして教われば、会話も増え努力している様子が周囲の人にも伝わります。
 
また、注意されたことを振りかえるという意識も大切です。
相手が指摘したいポイントはどこにあったのか、どうすればよかったのか…よく考えてみましょう。
 
もしかしたらその時の自分には気づけなかった大事なことを、強調して教えたかったのかもしれません。
 
 
・友人や親しい人に相談する
 
現状を友人や親しい人に相談してみましょう。
同じ職場でなくても構いません。
第三者の意見を聞くことで何か気づく可能性もあります。
 
ただしその際は、自分が取った行動とそれに対する先輩看護師の対応など、事実に基づいた具体的な話のみを伝えてください。
自分の感情的な部分はいったん排除して話すことがポイントです。
 
話を聞いた第三者が「それはいじめだ」と言うか、はたまた「そんな風に注意されるのは大人の社会では当然だ」と言うか、ケースバイケースですが、相手の反応を通して自分では気づかなかった新たな要因にたどりつけるとよいですね。
 
 
・信頼できる職場の先輩に相談する
 
同じ職場に信頼できる先輩がいて相談できれば、第三者よりは実際の状況を理解してもらえますし、より適切な判断を仰げる可能性が高いです。
 
この場合重要なポイントは、いわゆる“口が堅い人”を選ぶことです。
噂が広がってしまったり、事実が歪められて伝わったりしては元も子もありません。
往々にして口の軽い人はその手の間違いを犯しがちです。
 
また、相談をした先輩が「それは師長に話しなさい」と助言してくれたり、あるいは直接いじめている人に話を通してくれたりするかもしれません。
場合によっては、3人で話す機会を作るなど、橋渡し役をしてくれることもないとは限りません。
 
 
・病院のカウンセラーに相談する
 
大きな病院では専属カウンセラーがいる職場が増えてきています。
EAP(従業員支援プログラム)を導入している病院なども見られます。
 
カウンセリングを受けてもプライバシーは厳守されますから、安心して相談しましょう。
話を聞いてくれ、自分の気持ちに共感してもらうだけでも、かなり楽になると思います。
 
 
● 職場での取り組みにより対応可能なこと
 
・ワンマンな上司はまずは周囲に相談
 
同じ職場の中に相談できる人がいるとよいですね。
いないときは、病院内のカウンセラーに相談してみましょう。
もちろん、いじめやハラスメントに関する相談窓口が設けられていれば活用してください。
 
 
・正当に評価されていないという思いをぶつける
 
自分の仕事ぶりが正当に評価されていないと感じていたら、主任か師長に相談してみてください。
 
自分がどのように評価されているか、評価が低い理由はなぜか…など、具体的な原因を聞いてみることで、自分が気づかずにいた仕事ぶりを指摘してくれるかもしれません。
 
独りで悶々と悩んでいるよりも思い切って行動する方を選び、自分の気持ちを上司にぶつけて聞いてみることをおすすめします。
 
 
・組織の体質が変わらなければ異動や転勤も視野に!
 
職場の体質の問題は、そう簡単に変えられる類のものではありませんので、異動や転勤も視野に入れます。
 
職場の風土というのはたいていの場合根強く、それに逆らうのはなかなか難しいです。
同じ病院内での異動を申し出るなど、気持ちを切り替えて職場を変える方法も検討してみましょう。
 
 

男性看護師へのいじめはあるのか?

 
いじめの問題を考えるとき、まずは男女というより個人の問題の方が先行するのではないでしょうか。
 
女性でもいじめられる人はいるのです。
 
男性だからという理由よりは、個人がいじめの対象になるケースが多いと言えるでしょう。
 
ここであえて「男性だから」という要素に絞って原因を考えた場合、冒頭でお伝えしたとおり、かつては女性で占められていた看護師の世界が大きく関わってきます。
 
女性の数が圧倒的に多く、女性的な感覚や価値観が優位な雰囲気や風土のなかに男性が入ってくるのです。
 
それに抵抗を感じる女性看護師もいるでしょうから、看護師の世界でマイノリティである男性は、いじめの対象となる可能性を持っていると言えます。
 
また、男性側からすると、女性独特の世界観に違和感を持つ人もいないわけではありません。
 
なかには少数者であることに引け目を感じている人もいます。
 
このような男性側の心情も、いじめへとつながる要素を含んでいます。
 
さらに考察すると、異性に対する偏見が強ければ、お互いに異性を「異質性」と感じて排除するような言動に出ることもあり得ます。
 
ですから、男性看護師のいじめがないとは言えないのです。
 
 
男性看護士の活躍の場は、以前は女性が苦手な力仕事などが多かったようです。
 
しかし、男女の平等性が確立された現在、たとえば産科のような“女性的”な職域でも、男性の介入は認められています。
 
そのかわり、女性の特性として評価されていた「気遣い:ケア」といった看護のコアに関わる能力についても、男性にも平等に求められるようになってきています。
 
そうした現状を踏まえず、女性のような「気づかい」が不足して、患者からも女性看護師からも疎まれるようなケースもないことはないようです。
 
もちろん、だからと言ってそのハンディが「いじめ」に発展するのは問題なのですが。
 
 
看護の場におけるいじめの問題は、現在十分に解決されているとは言えません。
 
それゆえに、少数者である男性がいじめを避けようとして、女性に迎合しておもねるような必要はありません。
 
心ある女性であれば、かえってそういう態度をとられることを嫌います。
 
男性として看護に対するしっかりとした考えを持って取り組んでいれば、いじめに遭うような事態は避けられるのではないでしょうか。
 
男性ならではの視点に立って見るからこそ、男性の存在価値も高まります。
 
女性目線では気がつかないこと、できないことだってあるのですから。
 
 

もしも他の職場が気になるなら。
無料の会員登録はコチラから

男性看護師のいじめ:まとめ

 

  • 看護師の多くは女性で、現在のところ男性看護師は少ない
  •  

  • いじめられる原因は、新人など弱い立場、会話が少ない人、仕事の覚えが悪い人などにみられる
  •  

  • いじめが起こりやすい職場は、上司がワンマン、正当に評価されない、などの不満を抱えている職場で起こりやすい
  •  

  • 対処法は、自分から率先してできることを行う、会話をする
  •  

  • 対処法は、教わった内容を復習する習慣づけも大事である
  •  

  • 対処法は、友人や親しい人に相談する
  •  

  • 対処法は、信頼できる職場の先輩に相談する
  •  

  • 上司がワンマンな場合は、病院のカウンセラーに相談する
  •  

  • 正当な評価をされていないと感じたら、師長に率直に話をしてみる
  •  

  • 男性としてしっかりとした看護の視点を持つ

 
こちらの記事もぜひご覧ください。
看護師のいじめ、その原因にはなにが? 対策はある?
 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

この記事をシェアしよう

看護師求人・施設を検索する

病院・施設名で探す

あなたの転職を後押しする
カンゴワークス・パートナーを
無料で利用しましょう

看護師求人の特徴

  1. 看護師を必要としている施設は日本全国で38万以上あります。
  2. 求人に関わる情報の多くは非公開です。

看護師転職のポイント

あなた一人の力で数多くの病院・施設を調べ、非公開情報を入手し、自分にあった職場を見つけるということは難しいと思いませんか?さらに、希望する病院・施設と給与や勤務条件などまで調べるとなると…。
そこで、多数の病院・施設の情報を持ち、色んなアドバイスがもらえるカンゴワークスパートナーサービス(無料会員サービス)を上手に活用することをオススメします。

カンゴワークスパートナーサービス(無料)がお役に立つ理由

  1. カンゴワークスと提携する各パートナーが、あなたの転職を後押し。さまざまな転職ニーズに対応可能。
  2. 15年以上の運営を通し、求人情報は豊富に蓄積
  3. 転職理由解決割合 93.8%
  4. 希望給与額に対する転職後給与 110.6%
  5. 希望通勤時間に対する転職後通勤時間 12.6%減

カンゴワークス 2015年1月〜2018年4月末までの転職成功者のデータから

医療・介護グループ特集