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看護師のお仕事:循環器科のお仕事とは

投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2023年11月27日

看護師のお仕事:循環器科のお仕事とは

 
執筆:藤尾 薫子(看護師)

 
 
循環器科は、心臓と血管にトラブルのある患者を対象としています。
 
「命に直結する心臓、何だか怖いし、自信がない」という看護師も多いことでしょう。
 
実際にどんな仕事をしているのでしょうか。解説していきます。
 
 

循環器科のお仕事、患者さんはどんな人が多い?

 
循環器科の治療対象となるのは、心臓と大きな血管にトラブルのあるものがメインです。
 
具体的には、心筋梗塞や狭心症、心不全、心臓弁膜症、動脈瘤、静脈瘤などが該当します。

 
また、高血圧や糖尿病・脂質異常症も、こうした循環器疾患の原因に合併することが多いため、治療の対象となります。
 
これらの疾患は特に中高年の男性に多く見られます。そのため、中高年男性を看護の対象とする機会が多くなります。

 
 

他の診療科とは違う、循環器科の特徴は?

 
循環器科の特徴の一つに、「他の診療科に比べて扱う医療機器類が多い」ということが挙げられます。
 
循環器科は、主に心臓にトラブルがある疾患を中心としていますから、三点誘導心電図や十二誘導心電図の他、輸液ポンプを使うことが多くあります。
 
心機能の変化を見るのは心電図ですから、患者さんの状態によっては、日々のバイタルサインズ測定で十二誘導心電図を取ることも多くあります。
 
また、IN/OUTバランスを注意深く見るのも特徴です。少しでもIN/OUTバランスに乱れがあると、心不全を合併したり悪化させたりする恐れもあります。

 
そのため、IN/OUTバランスの管理や観察を厳密に行います。
 
一定時間に輸液する点滴量の管理を徹底するために、成人であっても小児用の輸液セットと輸液ポンプでの管理となります。
 
飲水量と食事から摂る水分量、排泄量、また、発汗などの不感蒸泄の計算なども、通常業務に入ってきます。
 
他には、急変や急患対応が多くあることも特徴の一つです。
 
そのため、施設によっては、昼夜を問わず急患対応をしていることもあるようです。
 
ですから、他の診療科に比べて、循環器科の看護師は体力が必要だとも言われます。

 
 

循環器科の看護師は、幅広い視点を養える

 
循環器科の患者の特徴としては、患者の訴えや症状が、少し分かりづらいという点があります。
 
乳がんの場合は「胸にしこりがある」、胃がんの場合は「胃が痛い、違和感がある」など、比較的症状や訴えが分かりやすいものがあります。

 
しかし、循環器科では、心臓に特化した訴えばかりではありません。
 
代表的な例として、2018年2月に亡くなった俳優の大杉漣さんの急性心不全が挙げられます。
 
大杉さんは「胃が痛い」と訴え、救急搬送先で急死、原因は急性心不全といった一連の報道がありました。
 
心不全の直接的な原因には心筋梗塞や狭心症があります。
 
これらの典型的な症状は胸の痛みですが、大杉さんのように腹痛を訴えたり、「肩が痛い」と訴える人も多くいます。また、糖尿病が持病にある場合、そも
そも痛み自体を感じないこともあります。
 
そのため、循環器科の看護師は、患者のさまざまな訴えや持病などの背景から、幅広い視野を持てるようになります。
 
 

同じ循環器科でも内科と外科で違う治療内容

 
他の診療科とも同じく、循環器科にも、循環器内科と循環器外科の2種類があります。

 
同じ循環器であっても内科と外科とでは治療内容が変わります。
 
看護師の仕事内容の違いは後ほど説明しますが、主に循環器内科と循環器外科の違いは、次の通りです。
 
 
循環器内科では、内服や点滴といった薬物療法やカテーテル治療など、手術以外の治療を行います。
 
一方、循環器外科では開胸手術や血管バイパス手術など、大きな手術療法が中心となります。
 
施設によっては、循環器内科を心臓内科や心臓血管内科、循環器外科を心臓血管外科と標榜していることがあります。
 
一般的には大きな病院では循環器内科と外科の両方が設けられていることが多いようですが、小規模の病院や個人経営のクリニックなどでは、開胸などの大きな手術は行いません。
 
そのため、循環器内科のみを設けていることがほとんどです。
 
また一般的に、循環器疾患の治療は、内科治療から始まります。
 
内科治療で対応できず、手術に耐えられる予備能力のある患者さんが外科治療の対象となります。
 
こうした治療の流れも、循環器科に特有のものだと言えるでしょう。
 
 

循環器科の外来と病棟での仕事内容は?

 
外来と病棟でも看護師の仕事内容は当然異なってきます。
 
外来や入院設備のないクリニックでは、医師の診察介助や、検査介助が主な業務です。
 
スムーズに診察や検査ができるよう、診察・検査待ちの患者のバイタルサインズ測定をしながら、検査機器の準備や患者への検査説明を行います。
 
カルテや伝票の処理など、事務作業も多くあります。
 
患者と診察や検査、事務作業の流れを見ながら、臨機応変に対応できることが大切です。
 
病棟では、治療管理と、バイタル測定や生活介助などの入院生活の管理、退院指導が中心です。治療内容は内科と外科で異なり、それによって仕事内容も異なります。
 
それでは、内科と外科で看護師の仕事内容はどのように違うのでしょうか。
 
 

循環器内科の看護師の仕事内容

 
循環器内科では薬物療法やカテーテル治療が中心です。
 
一般的な生活介助に加え、循環器内科の看護師の仕事内容は、主に以下になります。
 

  • 点滴、内服管理
     

  • 心電図や心エコーなどの検査準備や介助
     

  • カテーテル治療の準備、治療後の合併症の観察

 
 
カテーテル治療は大血管からカテーテルを挿入し、閉塞や狭窄部位を観察、治療するものです。
 
目的や病名によって穿刺する血管は異なりますが、カテーテル治療実施後の心電図モニタリングの他、穿刺部位の観察や穿刺部位の圧迫による合併症の有無など、疾患に特有の観察ポイントがあります。
 
心電図や心エコーについて、詳細に波形や画像を読み取れる必要はありませんが、致死的不整脈の有無や大まかに心臓の働き具合を把握できるなど、最低限の知識は必要となります。

 
 

循環器外科の看護師の仕事内容

 
一方、循環器外科では循環器内科と同様の業務に加え、手術前後のオリエンテーションや、術後の全身管理を行います。
 
特に循環器外科の手術は術後の状態が変化しやすく、細かく全身をアセスメントすることが重要になります。急変により再手術に至ったり、ICUやCCUでの重症管理にステップアップする例も少なくありません。
 
また、循環器外科では小児の手術を行うこともあります。
 
たとえば、「心室中隔欠損」は小児に特有の先天性心疾患ですが、他の小児の手術に比べて手術侵襲が大きく、入院期間も長くなります。
 
そのため、小児の観察ポイントの把握や、小児科との連携、両親へのサポートなども必要なスキルとして備えておくことが望まれます。
 
また、内科と外科で共通のことですが、退院指導を行います。
 
他の診療科と違うのが、一度侵襲が加わった心臓に、少しずつ負荷をかける「心臓リハビリテーション」を並行して行う点です。
 
リハビリ中に容体が急変がすることもあり、一般状態やモニターを見ながら注意深く行います。
 
また、心臓リハビリテーションのゴールは、人それぞれです。
 
心臓の機能を評価しながら、退院後の生活をどのようなスタイルにするか、患者とゴールを一致させながら生活調整も行います。
 
 
循環器科の看護師の仕事は、場合によっては生命の危機に直結する治療も多く、ハードな面もあります。
 
しかし、心電図が読めるようになったり、全身管理の基礎を身につけることができるなど、他の診療科でも通用するスキルを身につけることができます。
 
また、高齢化社会の延伸や、生活習慣病患者が増えているという社会背景から伺えるように、今後も循環器科の看護師は、需要が高くなると言えるでしょう。
 
 

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まとめ:循環器科の看護師の仕事

 

      

  • 循環器科では、心臓や大血管にトラブルのある疾患が治療対象となる
     
      

  • 患者層は中高年が多いが、小児を扱うこともある
     
      

  • 循環器科の特徴に、医療機器を扱う機会が多い、IN/OUTバランスの管理を徹底する、急変や急患対応が比較的多い、などがある
     
      

  • 循環器科の患者は、疾患に典型的な症状を訴えないことも多い。看護師として、幅広い視野を持てるきっかけとなる
     
      

  • 循環器科には内科と外科がある。内科では薬物療法やカテーテル治療が中心で、外科では手術療法を行う。看護師の仕事内容も、内科と外科に則した内容になる
     
      

  • 循環器科では内科治療から始まり、内科治療の適応でない患者が外科治療の対象となるのが一般的な治療の流れである
     
      

  • 外来では、医師の診察介助や検査介助、病棟では、治療と入院生活の管理、退院指導が主な業務である
     
      

  • 循環器科では、退院指導の一環として、心臓リハビリテーションを行う
     
      

  • 循環器科の看護師は、他の診療科でも通用する基礎的なスキルを身に付けることができる
     
      

  • 社会背景から見ても、今後、循環器科の看護師の需要は高まる可能性が大きい

 

 
 

<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 

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