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看護師の夜勤はどういう勤務形態? 何が大変?対策は?

投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2024年02月21日

 
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)

 
 

看護師の業務で「大変なこと」として挙げられるのは、まずは夜勤勤務のことでしょう。
 

日本医療労働組合連合会(日本医労連)の調査
によれば、約75%もの人が看護師の仕事を辞めたいと思ったことがあるようです。

 
原因のひとつに「夜勤」も挙がっています。
 
ここでは夜勤について、実際にはどのようなものなのかみていきたいと思います。

 
 

看護師の夜勤、シフトや働き方

 
入院患者には24時間365日、昼も夜も看護が必要です。
 
そのため、看護師はシフトを組んで、昼夜にわたって看護をすることになります。
 
労働基準法では午後10時~午前5時までの勤務を含むものを「夜勤」と呼んでいます。
 
しかし、一口に夜勤といっても、その形態はさまざまです。
 
各病院でいろいろな工夫を凝らしていますが、一般的なものを挙げてみましょう。
 
 

2交代制

 
昼間の勤務である「日勤」が朝8時半~17時半、「夜勤」は16時~朝9時までです。
 
夜勤の勤務時間は16時間もあって、長時間勤務になっています。
 
この間、休憩1時間と、それ以外に仮眠時間を最低でも2時間は取ることができます。
 
しかし、夜間の緊急入院や入院患者の急な対応などがあると、仮眠が取れないこともしばしばあります。
 
というのも、仮眠時間は夜勤の勤務時間の中に含まれているので、必要があれば対応しなくてはいけないからです。
 
 

3交代制

 
3交替制では次の3つの勤務を、シフトを組んで運営していきます。
 
・日勤:
 8時半~17時半
 
・準夜勤務:
 15時半~夜中0時半
 
・深夜勤務:
 0時半~翌朝9時半
 
日勤をしたあと深夜勤務になる場合もあり、その場合には日勤後に深夜勤務に備えて仮眠をとるようにしますが、うまく眠れず疲労していくことが多いです。
 
なお、勤務時間中には45分~1時間の休憩時間があります。
 
 

変則2交代制

 
長さが均等でない2つのシフトを設定している勤務形態をいいます。
 
日勤の勤務に早出や遅出を作り、夜勤は12時間勤務にするなどです。
 
 

変則3交代制

 
長さが均等でない3つのシフトを設定している勤務形態です。
 
準夜勤務から深夜勤務への交代時刻が真夜中になるので、それを避けるために準夜勤務の勤務時間を短くして(6時間くらい)、深夜の勤務時間を長くする(10時間くらい)などの例があります。
 
 

夜勤の特徴

 

申し送り

 
患者さんに対して、看護師が交代しても常に一定のレベルで同じように看護していかなくてはなりません。
 
夜勤に入ったら、昼間の医師の治療方針、処置内容、患者の状況などを詳しく知っておく必要があります。
 
また、日勤での受け持ち患者さんを準夜勤務の看護師に引き継ぎ、準夜勤務は深夜勤務の看護師に昼間からのこと、自分が勤務していた時間の患者さんの変化などを引き継ぎます。
 
これを「申し送り」といいます。
 
患者さんの状況をかいつまんで話すことになりますが、大体30分位、長い場合は1時間くらいになることもよくあります。

 
 

勤務している看護師が減る

 
日勤では医師や医療スタッフによる治療や検査が多いので、看護師も厚く配置されています。
 
逆に、夜勤の看護師はぐっと人数が減ります。
 
当然、日勤時よりも受け持つ患者数が増えることになり、それだけ責任も重くなります。
 
処置などは減りますが、重症の患者さんは昼間と同じように看ていかなくてはいけません。
 
また、準夜勤務では、夕食時に投薬があったり点滴の交換などがあったりもします。
 
さらに、時間が決まっていてきちんと管理しなくてはいけないこともたくさんあります。
 
そして、朝方は6時から病室をまわり、検温したり体調を看て回ったりします。
 
 

夜間特有の雰囲気

 
深夜勤務では、夜間に患者さんが問題なく眠りについているか、見回りを2時間おきに行います。
 
「夜眠れない」といって看護師の詰め所に来訪する患者さんもいるので、話し相手をすることもあります。
 
 

緊急搬送される場合

 
検温や脈拍をみて看護記録につけて、朝8時からの申し送りに備えます。
 
救急患者を受け入れている病院や産科病棟では、妊婦さんがいつ入ってくるわからない状態ですから、いつ来てもよいように、準備はおこたりません。
 
 

夜勤中の休憩時間

 
2交代の場合、仮眠時間は睡眠を取るか、眠れなくても横になって身体を休ませる看護師が多いようです。
 
この仮眠時間に睡眠が取れれば、朝になって勤務が終了したら、そのままプライベートの時間として活動できます。
 
日本看護協会から、「深夜(22時以降)に及ぶ勤務では、連続2時間以上の仮眠ができる時間を確保する」ことが望ましいという見解が出ていることもあり、多くの2交代制の病院は、1時間の休憩時間とは別に2時間くらいの仮眠時間を設定しています。
 
ただし、この仮眠時間は、休憩時間ではなく労働時間扱いとなっているため、もし患者さんの容態が急変するなどがあった場合は、すぐに仕事に戻る必要があります。
 
一方、3交代制での夜勤では、45分~1時間の休憩時間を取ることができます。
 
そのあいだは、食事をしたりテレビを見たり少し仮眠を取ったりして過ごしている人が多いようです。
 
 

シフト制

 
看護師の仕事は、通常シフト制で管理されていて、作成されたシフトに沿って勤務します。
 
 
《2交代制の例》
 

  • 月曜日: 夜勤入り
  • 火曜日: 夜勤明け
  • 水曜日: 休み
  • 木曜日: 日勤
  • 金曜日: 日勤
  • 土曜日: 休み
  • 日曜日: 日勤

 
日曜日に日勤したあと、月曜日の夕方の夜勤入りまで時間があります。
 
夜勤明けの火曜日から水曜日にかけて休みだと、自分の時間も取ることができますね。
 
 
《3交代制の例》
 

  • 月曜日: 日勤
  • 火曜日: 休み(この日の夜から深夜勤務に入る)
  • 水曜日: 深夜勤
  • 木曜日: 深夜勤
  • 金曜日: 準夜勤
  • 土曜日: 日勤
  • 日曜日: 休み

この場合、木曜日の深夜勤務が明けて、金曜日の準夜勤務までは比較的時間が取れます。
 
金曜日の準夜勤が終わったら、次の朝から日勤になるので、病院に泊まったりする人も多いです。
 
 

生活リズムのずれ

 
夜勤があると平日に休みが取れるので、休日に混み合うところへ楽に行けたりする利点もあります。
 
しかし、他の職種の人と休日が重ならないので、異なったリズムで生活することになります。
 
 

夜勤専従者

 
夜勤専門で働くということもできます。
 
日勤や夜勤を組み合わせていると体力的につらい、という人が多くいます。
 
夜勤専門となると体力的には楽で、高収入というメリットもあり、これを選ぶ人もいます。
 
また、昼間は他のことをしたいという場合に夜勤専門を選ぶ人もいます。

 
 

夜勤の心身への影響

 
ただでさえ、夜勤では身体介助(便器やオムツ交換、トイレ介助)などの肉体労働が多く、筋肉痛や腰痛などが出やすいもの。
 
また、少ない人数の看護師で病棟全体の管理をしていかなくてはならず、神経を使って勤務しているので精神的にも疲れます。
 
自分の判断ひとつが患者さんの命に関わってくるので、責任感からくる疲労も大きいものがあります。

 
そして、本来ならば人間は昼間活動して夜眠るように身体ができています。

 
この生体リズム(サーカディアンリズム)によって、寝ているあいだにホルモンが出たり身体の調整をしたりする機能が備わっており、体内時計によってリズムが約24時間に調整されています。
 
夜勤をすると、その身体のリズムを崩してしまうので、疲労が蓄積しやすくなり、身体自体を維持することが大変になります。
 
サーカディアンリズムが乱れると、次のようなことが起こります。

 
 

肉体面

 
・睡眠の質が低下する
 
夜間睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠で構成されていますが、昼間の睡眠はレム睡眠がはく奪されて、睡眠の質が低下します。
 
メラトニンという眠りを誘うホルモンは、日光を浴びると分泌が低下します。
 
ですから、夜勤明けをしていて昼間寝ようと思うときは、次のような光に対する注意が必要です。
 

  • 1.帰宅途中はサングラスや帽子を使用して、日光をなるべく浴びないようにする
  •  

  • 2.寝るときは遮光のカーテンをする
  •  

  • 3.テレビ、パソコン、スマートフォンなどの画面からの光も避ける

 
 
・疲労の回復効果が下がる
 
昼間の睡眠は夜のように長時間眠り続けることができないので、起きたときに疲労が抜け切れず、だるさが残ったりします。
 
また、睡眠パターンの乱れから高血圧になったりして、循環器へ負担がかかることも考えられます。
 
 
・月経周期が乱れる
 
夜勤を続けていると、サーカディアンリズムが乱れることで、月経周期の乱れを招くこともあります。
 
 

精神面

 
・負の情動ストレスが解消できない
 
レム睡眠がはく奪されると、夢をみて負の情動ストレスを解消するようなことが期待できません。
 
たとえば、夜勤明けに不機嫌になる、怒りっぽくなるなどは、こうしたことの影響によるものでしょう。
 
 
患者さんの生命と安全を守ることは看護師の重要な使命です。
 
一緒に業務を行うパートナーや当直医との連携が大事ですし、異変が起こったときの状況把握をいち早くしなくてはなりません。
 
そのために自分が健康で生活も豊かにしていかなければ、職務を充分に遂行することができません。
 
特に、夜間に働くということは、それだけ医療事故などを起こすリスクが高いと言えます。
 
夜勤の負担を十分認識し、自分の生活を適切に組み立てていく努力をする必要があります。
 
 

夜勤の疲労回復術

 
夜勤は疲労が蓄積してしまいがちです。どのようにして身体を守っていったらよいでしょうか。
 
その方法をご紹介します。
 

オンとオフをハッキリ分ける

 
夜勤で申し送りをして勤務が終わったら、キッパリと仕事のことは忘れましょう。
 
緊張していた神経を解放させることが大事です。
 
以下のようにして、身体を楽にさせましょう。
 

  • 結んでいた髪をほどく
  •  

  • ストッキングを脱ぐ
  •  

  • 部屋着に着替える
  •  

  • ブラジャーなども外す

 
 

ストレス発散

 
看護師の日常は「仕事」と「寝る・食べる」だけという人がいますが、それではストレス発散ができません。
 
ストレスが溜まると体調にも影響してきます。
 
「趣味に没頭する」「一人カラオケで大きな声を出す」「スポーツをする」など、自分なりのストレス発散方法を身につけましょう。
 
気の置けない友人とおしゃべりしたり、美味しいものを食べに行ったりするのもよいでしょう。
 
また、長期休暇を取って旅行に出かけるのもリフレッシュになりますね。
 
 

実際にあった、夜勤の体験談

 
看護師のNさんは、夜勤に向かうとき、看護師以外で年末年始に働いている仕事にどんな職業があるだろうと考えました。
 
警察官、消防署、電車の運転手、ホテル、神社関連などなど。考えればいろいろな職業が思いつきます。
 
そうこう考えているうちに、「看護師の自分だけが働いているわけではないな」と重い肩の力が抜けたと言います。
 
確かに夜勤は大変な仕事ですが、「ものは考えよう」という面もあります。
 
できるだけ気軽に取り組めばストレスも軽くなるでしょう。
 
Nさんは、年末年始でも退院ができなかったり、外泊を許されなかったりする患者さんと一緒に過ごす時間は、なぜかほんわかとした一体感があったと回想しています。
 
そして患者さんがいつもより饒舌になって、いろいろとおしゃべりしてくれたことを思い出します。
 
それはきっと、自分は病気だから病院にいるのは仕方がないけれど、こうして夜も自分たちのために働いてくれている人がいるという感謝の気持ちが、そうさせたのではないだろうかと…。
 
そういえば、夜勤の見回りでシーンとなった病室に入ると、寝息などがきこえてきて、自分がこの人たちを守っているという責任感と充実感を実感したことが何度かあったことも思い出されました。
 
 
いますでに夜勤を頑張られている看護師さん、あるいはこれらから夜勤を始めようという看護師さんに少しでも参考になれば嬉しいです。
 
 

仕事漬けにならないように。また、気がついたら身体がボロボロ!なんてことにならないように、いつも自分らしくしていられているかを考えてみてください。
 
もしそれができないようならば、夜勤のない仕事への転職や異動も視野に入れる必要があるでしょう。

 
 

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看護師の夜勤:まとめ

 

     

  • 夜の勤務には、2交代制と3交代制がある
  •  

  • 2交代は約16時間勤務し、途中2時間ほどの仮眠時間が設けられている
  •  

  • ただし、仮眠時間も勤務時間とみなされるので、仕事があれば行わなければならない
  •  

  • 3交代は45分~1時間の休憩時間がある
  •  

  • 変則2交代、変則3交替勤務をしている施設もある
  •  

  • 夜勤した朝は、日勤の看護師に申し送りをする
  •  

  • 夜勤は看護師の人数が減るので担当患者が多くなる
  •  

  • 夜眠れない患者などの話し相手になる場合もある
  •  

  • 緊急搬送される場合があるので、患者さんがいつ来てもよいように準備をしておく
  •  

  • 仮眠できるならば、休憩時間でもできるだけ仮眠をとること
  •  

  • 1か月ごとにシフトが作成されて、そのとおりに勤務する
  •  

  • 夜勤専従で働くこともできる
  •  

  • 夜勤は身体の負担が大きい
  •  

  • 昼間すぐ眠れるように、光を浴びないでベッドにつくこと
  •  

  • 昼間の睡眠は、夜の睡眠よりも質が悪い
  •  

  • 肉体的には筋肉痛や腰痛を訴える人が多い
  •  

  • 精神面では、責任が大きい分、疲労も大きい
  •  

  • 夜勤をするには、個人の生活の工夫が必要
  •  

  • 疲労を回復させるためには、いくつか方法がある
  •  

  • オンとオフのけじめをつけ、オフではリラックスする
  •  

  • 自分自身で、ストレス発散方法を身につける
  •  

 
 

【参考】
看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン
 
こちらの記事もぜひご覧ください。
看護師が夜勤専従で働くときに知っておきたいこと看護師不足の現状…改善はされる? 今後の見通しについて考える
 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

 

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