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看護師のお仕事:透析看護のお仕事とは

投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2023年11月27日

看護師のお仕事:透析看護のお仕事とは

 
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
 
 
透析室での看護師の業務は何をするのか、ご存知でしょうか。
 
この頃では、透析看護の認定看護師を目指す看護師も増えているようです。
 
実際にはどういった業務なのかをみていきましょう。

 
 

そもそも透析とは?

 
腎臓の働きが正常時の10%以下になると、自分の腎臓で血液のろ過が十分に行うことができず、体内に老廃物が蓄積してしまいます。
 
これによって、むくみや高血圧、尿の異常などがでてきます。
 
腎臓の働きが十分でない状態を「腎不全」といい、次のような特徴があります。
 
・症状
 倦怠感、食欲低下、悪心・嘔吐、頭痛
 
・重症になると全身けいれん
 
・合併症
 心不全、肺水腫(息切れ、呼吸困難など)
 
 
腎不全などが原因で腎機能が低下すると腎臓が機能しないので、人工的に血液をろ過する必要があります。
 
ちなみに、一般社団法人日本透析医学会によれば、2016年現在で透析患者数は約32万人で、前年より約4600人増加しています。
 
また、2013年に新たに透析を始めた人は平均年齢68.2歳で、これは年々上昇傾向です。(参考:一般社団法人日本透析医学会『2016年末の慢性透析患者に関する集計』
 

透析療法は、血液透析と腹膜透析とに分けられます。
 
次からそれぞれについてみていきましょう。
 

透析療法その1:血液透析療法

 
血液を機械に通して、腎臓の代わりに血液中の不要な水分や老廃物を除去し、血液をきれいにする方法をいいます。

 
日本では血液透析は、透析患者全体の96.9%がこちらを選択しています。
 
しかし日本以外では、腹膜透析療法が主流となっている国もあります。
 
透析ができる場所は、通常病院内にあったり、透析センター、腎センターなどといった名称のクリニックです。
 
日本には4000以上の施設があり、住居や職場の近くで通院に都合のいいところ、また、通院のために送り迎えをしてくれるサービスがあるかどうかなどによって選択します。
 
 

血液透析の種類

 
 

長時間透析

 
週3回ならば1日6時間以上、1日おきならば1回5時間以上というようなスケジュールで、週に18時間以上行います。
 
透析時間が長いと十分な透析ができ、多くの老廃物や余分な水分が排出されることになります。
 
これで血圧が下がり、降圧剤が不要になったり、貧血が改善してきたりします。
 
時間をかけて行うと急激な血圧低下も防ぐことができて、無理のない透析だと言えるでしょう。

 
 

隔日透析

 
隔日や連日で透析を行う方法です。
 
ウィークディのみの透析だと土日に透析をしない日が2日できてしまうので、この方法は土日も関係なく透析にあたります。

 
 

オーバーナイト透析

 
夜間眠っている間を使って7~8時間透析をします。
 
一般的には、21~23時位に透析を開始して、朝の5~7時頃まで行うものです。
 
透析を開始して寝てしまえば、透析時間が苦にならないので、日中就業している人は、従業時間をきちんと確保できることにもなります。

 
 

在宅血液透析

 
透析施設と同じ機械を自宅に設置することもできます。
 
医療施設で十分な訓練を受けたうえで、自分で透析を自宅で行うものです。
 
自分の好きな時間に透析ができ、回数や時間も自分で決められるので、頻回に行ってもよい長時間行うことも可能になります。
 
2012年現在、在宅血液透析を行っている患者は全体の0.1%程度ですが、年々増加の傾向にあるようです。
 
合併症の心配が少ないなどのメリットもありますが、透析前の準備や透析後の片づけなど、透析施設で行うことを全部自分で行わなければなりませんので、自己管理がきちんとできる方に限られます。
 
透析中は必ず身近に介助者がいるということが義務付けられています。
 
費用は、機器を置くための自宅の改修、専用電源、給水・排水の設備工事などがあり、自宅の状況によって違いますが、5~15万円位です。
 
 

透析療法その2:腹膜透析療法

 
在宅で行う透析法で、通院は月に1~2回程度ですみます。
 
自分の身体の中にある「腹膜」を使って血液をきれいにするものです。
 
寝ている間に機械で自動的に行う方法(APD)と日中に透析液を数回にわたって交換する方法(CAPD)があります。
 
腹腔内に透析液が注入されて4~8時間位ためておくと、余計な水分や老廃物が血液を通って腹膜から透析側に出てきます。
 
そうして出てきた液を体外に排出し、老廃物を除去します。
 
特徴は以下の通りです。
 

  • 腹膜透析を始める前に、透析液を交換するためのカテーテルを腹部に埋め込む手術を行う
    必要がある。
     

  • 腹膜を使って、血液をろ過して体外に排出させる
     

  • 毎日緩やかに透析を行うことができる
     

  • 通院は、月に1~2回程度
     

  • 自宅はもちろん、職場でも、学校などでも治療が可能
     

  • 治療は、患者自身で行うことができる

 
 

透析看護の仕事:看護師の役割

 
それでは、透析室の看護師の役割をみてみましょう。大きく分けて3つあります。
 

その1:透析の実施

 
血液透析をするためには人工透析機械が必要です。透析前にはその準備をします。
 
患者が来院したら、体重、血圧のチェック後、透析を行うことになります。
 
血液透析は「シャント」という患者の手首の静脈と動脈を吻合して太くした血管に針を刺して、透析用の血液回路に接続し、血液浄化を行うものです。
 
終了したら、針を抜き、止血します。
 
この流れを看護師が行い管理します。
 
 

その2:透析中の看護

 
透析中には患者の状態に変化が起きやすいときです。
 
血圧低下、気分が悪くなっていないかなど注意深く観察する必要があります。
 
 

その3:健康管理と生活指導

 
人工透析を受けている患者には日常生活で注意するべき事項がたくさんあります。
 
自分の状態に適した生活を管理できるようになるために、担当看護師には正しい知識や注意事項を伝え、指導しチェックをする必要があります。
 
健康管理や生活指導は、患者さんの今後のQOLに直結している、非常に重要な役目になります。

 
 

透析看護のお仕事:看護師としての特徴

 

やりがい

 
透析患者になると、その患者は生涯にわたって透析をしなくてはなりません。
 
通常多くは、週3回、1日4時間くらい透析を受けることとなります。
 
患者との付き合いは1対1で、しかも綿密に時間をかけながら関わることになります。
 

専門性

 
透析に特化したエキスパートナースを希望するなら、次のような資格制度があります。
 
・透析療法指導看護師
 
透析看護に精通して、看護技術に熟練し、専門的な知識を持っている人に与えられる。

 
6学会(日本腎不全看護学会・透析医学会、日本腎臓学会、日本移植学会、日本泌尿器科学会、日本腹膜透析会)合同の認定資格。
 
学術集会や各種セミナーや研究会に参加して、受験資格ポインが30ポイント以上取得できていることが必要。審査料3万円、認定費用1万円。5年毎に更新
 
 
・透析看護師認定看護師
 
看護師として5年以上の実践経験を持ち、日本看護協会が定める615時間以上の認定看護師教育を修め認定看護師認定審査に合格することで取得できる。
 
 
・透析技術認定士
 
看護師臨床経験2年以上あるいは准看護師経験3~4年、看護師でなくても臨床工学技士。
 
経験2年以上で認定講習会を受講した人に受験資格がある。
 
 

メリット

 
基本的には透析室は日勤だけの場合が多いです。
 
夜勤は夜勤専門の看護師をパートで採用している施設が多いようです。
 
しかし、常勤になっていると夜勤が組み込まれていたりするので、シフト制なのかどうか事前にチェックが必要ですね。

 
 

デメリット

 
透析に関する技術や知識が深まりますが、一般的に行われている看護からは距離ができるでしょう。
 
ですから、透析室に長くいると、それ以外への転職が難しくなってくることも考えられます。

 
 

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透析看護の仕事:まとめ

 

  • 人工透析患者は、現在32万人で前年より4600人ほど増加していて、増加傾向にある
     

  • 透析法には血液透析と腹膜透析がある
     

  • 血液透析は、施設にて行うもので、病院以外では透析センター、腎センターなどといったクリニックが多い
     

  • 4000施設ほどあり、患者の住居や職場の近く、通院送迎サービスの有無などで選択する
     

  • 血液透析の中でも、長時間透析や、隔日透析、オーバーナイト透析などがある
     

  • 在宅血液透析も機械を設置したら可能だが、まだ普及率は、0.1%程度だが増加の傾向にある
     

  • 腹膜透析は、在宅で行う透析法で、APDとCAPDという方法がある
     

  • 透析室の看護師の役割は、透析の実施、透析中の看護、健康管理と生活指導などがある
     

  • 透析看護師のやりがいは、患者と密に長期間関われることである
     

  • 透析療法指導看護師、透析看護師認定看護師、透析技術認定士、などの専門の
    資格がある
     

  • 透析看護師のメリットは、基本日勤のみ
     

  • デメリットは、透析看護師を長く続けると他の一般看護師に戻りにくい

 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
 

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