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看護師のお仕事:在宅看護のお仕事とは

投稿日: 2018年09月03日
最終更新日: 2024年02月21日

看護師のお仕事:在宅看護のお仕事とは

 
執筆:赤尾 治子(看護師)
 
 
在宅看護が必要な方に対する看護師の仕事としては、訪問看護や訪問入浴、在宅医に同行するなどがあります。
 
ここでは、それぞれの看護業務の具体的な内容について説明していきましょう。
 
 

高齢化でニーズが高まる訪問看護

 
日本の高齢者人口は増加の一途をたどっており、首相官邸の見立てでは、2020年には65歳以上となる高齢人口は総人口の28.9%になると予測されています。

 
それに伴い要介護高齢者も増えており高齢者の単身世帯も著しく増えています。
 
また、医療保険制度の改正などによって、以前のようにある程度回復するまで長期に入院できる状況ではなくなりました。
 
そのため、医療的な処置が必要だったり体調に不安があったりしたとしても、在宅療養を余儀なくされる人は増えています。
 
このような状況で訪問看護の需要は高まっていて、今後さらに伸びていくと予想されます。
 
訪問看護を行う「訪問看護ステーション」の数は、ここ20年で右肩上がりで増加しており、それに伴い看護師の求人も多くなっています。

 
 

在宅看護のお仕事:訪問看護

 
病気や障害のある人が自宅で暮らしていけるよう、看護師が自宅を訪問して医療的なケアを提供します。
 
どんな医療的なケアをするのかについては主治医の指示書がありますが、実際に患者をみて主体的に判断してケアを行うのは、訪問する看護師です。
 
一人暮らしをする高齢者や老々介護が増えているなかで、「住み慣れた家で暮らし続けたい」「自宅で最期を過ごしたい」といったニーズも増えています。
 
病気が治って退院しても、自宅での日常的な介護ケアとともに医療処置が必要になる人は増えています。
 
家族がいても医療的なことについては不安に思う方が多いでしょう。
 
訪問看護師は関連職種と連携して、ときに在宅医の指示を仰ぎながら在宅療養を支えます。
 
 

訪問看護をしているのはどんなところ?

 
訪問看護を担当しているのは次のようなところです。
 

訪問看護ステーション

 
在宅で療養する人に保健師や看護師が訪問看護サービスを行います。
 
訪問看護ステーションは都道府県知事や政令市・中核市市長の指定を得て、介護保険法に基づいて運営されている事業所です。
 
主治医からの訪問看護指示書やケアプランから「訪問看護計画」を作成して、これに沿って訪問看護サービスが行われることになります。
 
 

保健医療機関

 
病院や診療所など保健医療機関の中に「訪問看護部門」を設けたり、外来部門が兼任したりしながら、訪問看護サービスが提供されます。
 
 

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

 
介護保険制度を用いた地域密着型の介護サービスで、要介護者に対して訪問看護と訪問介護を一体化して、定期巡回をしながら24時間体制でサービスが提供されます。

 
 

看護小規模多機能型居宅介護

 
介護保険制度を用いた地域密着型サービスで、訪問看護、訪問介護、通所介護、宿泊サービスを複合して、要介護者に合ったサービスが提供されます。
 
 

民間企業の訪問看護サービス(各種保険外)

 
医療保険制度・介護保険制度外で、民間の企業などがサービスを行います。
 
ですから、各種保険が適用されることはないのですが、看護師などによる訪問看護が提供されます。
 
 

訪問看護の勤務体制と報酬

 
勤務には、常勤(正職員)と非常勤(パート)があります。
 
ほとんどが日勤だけですが、24時間指定を取得しているステーションはオンコール制度をとっているので、緊急時のオンコール手当がつきます。
 
常勤の場合、訪問看護師の標準的な給料は約25~35万円程度、年収は450~550万円程度です。
 
 
訪問看護師のほとんどは夜勤なしで日勤中心の仕事であることを考えると、たとえば日勤のみのクリニック勤務の看護師給与(給料:約25万円、年収:約400万円)と比較すると高い収入だといえます。
 
ただし、訪問看護師の給料や年収には幅があります。
 
主な就業先となる訪問ステーションが民間経営だったり、都市部に所在するのか地方なのかによって収入に差が出てくるためです。公的な経営母体であれば公務員に近い年収や退職金が出ます。
 
首都圏や都市部であれば給料35~38万円程度、年収550万~600万円という高レベルの収入も可能です。管理職になれば役職手当もつきます。
 
パートの時給は病院看護師と同様に首都圏では時給1,600~1,800円程度が相場ですが、2,000円以上というところも増えているようです。
 
需要が高いので、パートの時給は一般病院やクリニックより高めという情報もあります。
 
非常勤の場合、時給制のほかに歩合制があります。
 
訪問一件に対しての報酬が設定されていますが、利用者が受けている訪問看護サービスの時間により異なります。

 
 
訪問看護師の勤務は、ほとんどが日勤ということが子育てや介護、結婚生活との両立にとってはメリットとなっています。
 
また、基本的に一人で業務を行なう仕事ですので、病院での人間関係のトラブルに悩んでいる人、看護師としてのスキルや経験を存分に発揮したいと考えている人には適しています。
 
さらに、結婚や出産後で看護師としてブランクがあった後、仕事を探していたり、ベテランの看護師で経験と実績はあるものの夜勤がある病棟勤務はそろそろ辞めたいと思っている人にも向いた仕事と言えるかもしれません。

 
 

訪問看護の主な業務内容

 

日常生活の支援

 
 ・清潔ケア(入浴介助や清拭、洗髪、足浴など)、栄養管理(食事摂取の支援、経管栄養の実施・指導)
 
 ・排泄管理(排泄の自立支援、ストーマ管理、適切なオムツ使用の指導)
 
 

健康状態や病状の観察と評価

 
 ・全身の健康状態(体温・脈拍・血圧、体重、視力、聴力、筋力、皮膚の状態、認知・精神状態、睡眠など)のアセスメント
 
 ・病状や障害の状態を把握して適切な看護を提供する
 
 

医療的なケア

 
 ・かかりつけ医の指示に基づく医療処置(点滴、褥瘡・創傷処置、胃ろうなどの施行や管理、留置カテーテルの管理など)
 
 ・服薬管理
 
 ・急変、急性増悪時の緊急時対応(24時間体制)
 
 ・疼痛、血糖コントロール、脱水などの症状に対してのケアと主治医などへの情報提供
 
 

介護予防

  
 ・低栄養や運動機能低下を防ぐアドバイス
 
 ・肺炎予防、褥瘡予防のアドバイス
 
 

医療機器の管理

 
 ・在宅酸素療法管理、人工呼吸器の管理
 
 

在宅でのリハビリテーション

 
 ・体位変換、ポジショニング、拘縮予防、関節可動域訓練などの実施と指導
 
 ・嚥下機能訓練等
 
 ・ADL・IADLの維持・向上のための訓練
 
 

認知症ケア

 
 ・認知症の中核症状と行動・心理症状に対する看護
 
 ・睡眠、食事など生活リズムの調整
 
 ・環境整備、事故防止のケア

 
 

介護者や家族への支援や相談

 
 ・介護、看護負担に関する相談
 
 ・健康管理、日常生活に関する相談
 
 ・患者会、家族会、相談窓口の紹介
 
 

精神障がい者の看護

 
 ・精神症状に対する看護
 
 ・睡眠、食事など生活リズムの調整
 
 ・掃除、洗濯、買い物、料理、金銭管理など、日常生活の自立支援
 
 ・服薬、デイケア、外来通院など、医療の継続支援
 
 ・コミュニケーションの支援
 
 ・就労など、社会生活復帰への支援

 
 

終末期の看護

 
 ・疼痛や苦痛等の緩和ケア
 
 ・食事、排せつ、睡眠等、療養生活の支援
 
 ・療養環境の調整
 
 ・看取りの体制の相談、アドバイス

 
 ・本人、家族の精神的支援
 
 

社会資源の活用支援

 
 ・自治体の在宅ケアサービスや保健・福祉サービスの紹介
 
 ・民間や関連機関の在宅ケアサービスの紹介
 
 ・各種サービス提供機関との連絡・調整
 
 ・住宅改修、福祉用具導入などの相談・助言
 
 ・公費負担医療制度、医療費助成制度などの活用支援
 
 
訪問看護師は、その業務内容や基本的に一人で回ることを考えると、ある程度の看護スキルと臨床経験が必要です。
 
訪問看護ステーションの採用条件としては、3~5年くらい以上の臨床での経験が挙げられていることが多いようです。

 
スキルを活かして高時給な仕事に就きたいという看護師にはピッタリな仕事です。
 
土日祝日はお休みの施設も多いので、カレンダーどおりのスケジュールで生活したい方にも適しています。
 
ただし、オンコール対応をしている施設もありますので、内容を確認する必要があります。

 
 

在宅看護のお仕事:訪問入浴

 
訪問入浴は、在宅で介護を受けている方の自宅に入浴車で伺い、入浴介助をします。
 
介護を受ける方の状態や体型にもよりますが、おおむね介護士2名・看護師1名の3名一組で利用者の自宅を回ります。
 
特に高齢者にとって入浴はリスクが高いことが多いので、看護師はまず利用者のバイタルチェックを行います。
 
その際、熱があったり体調がすぐれなかったりする場合は責任者に連絡して、家族や主治医とも相談して入浴の可否を決めます。
 
更衣のときには全身の皮膚の状態などを観察します。
 
傷や褥瘡のある人には、指示にそって処置をします。
 
入浴介助は更衣も含めて体力を使う仕事です。腰にも負担がかかるので、もともと腰が弱い人は悪化させてしまうことがあるかもしれません。

 
具体的な業務内容を確認して、自分に合っているか見極めましょう。
 
勤務は日勤のみで、時給や日給は日勤のみのクリニックよりはやや高めのようですが、訪問入浴だけの正職員採用はあまりないでしょう。

 
 

在宅看護のお仕事:在宅医の同行看護師

 
訪問診療をしているクリニックに勤務して、往診時に医師に同行します。
 
バイタル測定や残薬の確認、医師の診察や処方の補助などが業務となります。
 
ケアマネージャーや訪問看護師と情報共有するために、その場で連絡を取り合うこともあります。
 
医師は医学的な立場から患者を診察し、看護師はより生活に近い視点で周囲と連携しながら療養環境を整えていきます。
 
そのほか、往診スケジュールの確認・調整、患者家族の電話対応、物品の手配などもあります。
 
在宅療養している患者が病院に入院することになった場合、その患者の情報を病棟に提供したり、逆に退院して在宅へ戻るときのサービス調整をしたりもします。
 
そして最期をみとり、死亡診断書を書く、ということもあります。
 
訪問診療しているクリニックでの勤務なので基本は日勤のみですが、訪問している患者の容態によってはオンコールになることがあります。
 
報酬はクリニックの看護師(給料:約25万円、年収:約400万円)に準じ、オンコールなど時間外勤務があれば手当がつきます。

 
 

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在宅看護のお仕事:まとめ

 

  • 在宅看護には、訪問看護、訪問入浴、在宅医の同行看護がある
  •  

  • 訪問看護師は、病気や障害のある方が自宅で暮らしていけるように自宅を訪問して医療的なケアを提供する
  •  

  • 訪問看護師は、高齢者人口の増加にともない今後ますます需要が増える職業である
  •  

  • 訪問看護ステーションは、土日祝日お休みの施設がほとんどで、育児や介護、結婚生活との両立に適した仕事である
  •  

  • 近年の訪問看護師の需要の増加に伴い、報酬も増加傾向である
  •  

  • 訪問看護師は基本一人の仕事で、その業務内容も多岐にわたるため、ある程度の臨床経験や看護スキルが必要である
  •  

  • 訪問入浴の看護師の業務としては、入浴介助のほか、利用者の状態のチェックと処置がある
  •  

  • 在宅医の同行看護師は、往診時に医師に同行して患者のバイタルチェックや残薬の確認、診察の補助をするほか、往診スケジュールの確認、調整などをする
  •  

    【参考】
    公益財団法人『日本訪問看護財団』
     
     
    こちらの記事もぜひご覧ください。
    需要が高まる「訪問看護」の仕事内容とは
     
     

    <執筆者プロフィール>
    赤尾 治子(あかお・はるこ)
    横浜市大医学部病院で14年間、介護老人保健施設で6年間の勤務を経て、株式会社とらうべ入社。
    現在は学校や企業の保健業務、介護施設の紹介、医療記事の執筆を担当。
    介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得予定

     

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